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マイクロLEDの特徴と課題は?市場は大きい?アップルウォッチ?

投稿日:2018年1月5日 更新日:

液晶が普及し、最近は有機EL(OLED)がiPhoneなどのスマホや大型テレビにも普及し始めています。日本の大手電機メーカーが急速な液晶の価格低下で業績不振に苦しみ、その強力な競合メーカーであったサムスン、LGでさえ、中国勢の猛追により液晶事業の先行きが厳しくなっています。そのため次世代ディスプレイとしてOLEDに投資し、それが花開きつつあります。

日本メーカーでは、大手電機メーカーのOLED部門を統合したJOLEDが、必死でOLED事業で追随しようとしています。

そんな競争熾烈なディスプレイ産業において、現在、多くの専門家・関係者が脅威を感じているのがマイクロLEDです。アップルウォッチにも搭載されるのではないかとの噂もあり、注目されているマイクロLEDについて以下に解説します。

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マイクロLEDとは?

マイクロLEDとは、簡単にいうとLED(発光ダイオード light emitting diode)を小さくしたものです。発光する部分が100ミクロン(=0.1mm)以下のサイズになります。

この小さなLEDを敷き詰めて、画像が表示できるようにしたものが「マイクロLEDディスプレイ」です。液晶ディスプレイやOLEDディスプレイでも、多くの画素が並べられていて、画素を正しく発光させたり、消したり、明るさを調節することで画像が表示されますが、その一つ一つの画素が小さなLED素子からなっているわけです。

通常のディスプレイでは、赤・青・緑の画素(サブピクセル)を近接して並べて一つの画素(ピクセル)を形成しています。マイクロLEDの場合も、赤・青・緑のLED素子を並べて一つの画素を形成します。

マイクロLEDの特徴は?

マイクロLEDを使用したディスプレイは、ソニーが米国ラスベガスで開催された「2012 International CES」において「Crystal LED Display」として参考展示しました。これは55型でフルHD解像度(1920×1080ピクセル)のディスプレイで、つまり横方向と縦方向にそれぞれ1920個、1080個の画素分のLED素子を並べたものです。赤・青・緑のサブピクセルで考えればその3倍の個数です。

この展示で高コントラスト、広色域、高速動画応答性能、広視野角の理想的なディスプレイであることが実証され、ディスプレイ業界に衝撃を与えました。

液晶ディスプレイは、OLEDに比べるとコントラストが低く、原理的に高速動画応答性能も劣ります。OLEDは液晶ディスプレイに比べると視野角が狭く(*画像が見えないという意味ではなく、正面と斜めで色が変わるカラーシフトが大きい)、寿命が短く、輝度を高くすると焼き付きが起こりやすいという特徴があります。

このように液晶ディスプレイとOLEDは長所・短所があるのですが、マイクロLEDディスプレイには短所と呼べるようなディスプレイの性能面での欠点が見当たりません。

耐久性の高い無機物質からなるLED素子でできているので、LED照明と同様に寿命が長く、応答性も高く、コントラストも極限に近いほど高いです。発光するLED素子を直接見ることになるので、視野角も広く、偏光板などの光を半減させる光学フィルムも必要とせず、最も高効率です。液晶ディスプレイもOLEDディスプレイも偏光板で約半分の光を失っているからです。

このような特徴を、ディスプレイ業界の専門家・関係者であれば構造・原理を聞いただけですぐに理解できますし、実際、それがソニーの展示によって実証されましたので、業界に衝撃を与えたわけです。

つまり、「マイクロLEDディスプレイが本格的に普及したら、液晶ディスプレイもOLEDディスプレイも駆逐されてしまうのではないか?」という脅威を多くの人が感じました。


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マイクロLEDの課題は?

「2012 International CES」でのソニーの衝撃のマイクロLEDディスプレイの展示以降、しばらくはマイクロLEDディスプレイの話題は影を潜めていました。フルHDでも1920×1080ピクセル、4Kならばその4倍、8Kならばその16倍の画素が必要で、その膨大な個数の小さなLEDを作り、並べる製造工程に膨大なコストがかかることに多くの人が気がついたからです。

「これほど液晶ディスプレイの価格が下がったのに、そんなに製造コストのかかるディスプレイは、どんなに性能が高くても普及しないだろう」と多くの人が考えたわけです。

ところがソニーは研究開発を続け、2016年5月にマイクロLEDディスプレイ技術を使った大型のディスプレイ「CLEDIS」(クレディス)を発表しました。これは403×453mm、解像度は320×360ピクセルのディスプレイユニットを配列させて、大型のディスプレイを作るというコンセプトのシステムです。144個並べれば横9.7m、縦2.7mの巨大な8K2Kディスプレイを作ることができます。

2017年から発売を開始し、価格は220型の4K×2Kシステムで約1.2億円と言われています(*正確な価格はソニーにお問い合わせ下さい)。ディスプレイ事業を長年リストラしてきたソニーが新たに立ち上げた事業ですので、この価格で利益が出ると思われます。

実はこのような大型のディスプレイは、業務用途で需要があり、通常はスクリーンに大型プロジェクターで投影するタイプです。そのシステムもかなり高額と思われますが、プロジェクターに比べるとLEDディスプレイは圧倒的に画質が良く、明るく、また小さなディスプレイユニットを搬入して現場で組み立てられるという点も大きな長所です。大型のプレート状のスクリーンでは、搬入経路で大きさが制限されてしまうからです。

ソニーが開発を続け、「CLEDIS」を商品化したことで再び業界に衝撃を与えました。それは製品化して、製造・販売を続けられれば製造コストが下がってくることは歴史が証明しているからです。製造コストをある水準まで下げれば、マイクロディスプレイが製品レベルで見ても「究極のディスプレイ」になる可能性があります。

マイクロLEDの市場は大きい?アップルウォッチ?

現状ではまだまだマイクロLEDディスプレイの製造コストはかなり高いです。今すぐ、急激に普及する水準まで製造コストは下がっていません。

しかし、最終製品の性能が究極レベルの高さであり、ソニーがそれを実証したことの衝撃は大きく、韓国・台湾・中国勢は、産官学を挙げて膨大な研究開発投資を始めています。かつての液晶ディスプレイも兆円単位の投資競争の結果、猛烈な勢いで技術が進歩しました。多額の研究開発投資を行い、海外勢も必死に取り組んで何の進歩もないとは思えません。特に最終製品は性能的に優れたものができると確認できており、課題は製造の効率化ですので。

実際、サムスンはソニーの「CLEDIS」の事業開始を受けて、自社でも大型のマイクロLEDディスプレイを開発し、映画館のスクリーンとして納入したと報道されています。これは映画館用のプロジェクターを製造している業界から見ればとてつもない脅威です。

またアップル(Apple)がマイクロLEDディスプレイのベンチャー企業を買収したことも数年前に報道されました。世界で最も時価総額の大きなアップルが本気でマイクロディスプレイの研究開発に投資し、自社製品に搭載するのではないかと噂されています。

最も有力視されているのが、アップルウォッチです。現在のアップルウォッチは、OLEDが搭載されていますが、それでもほぼ毎日充電しないと使い続けられません。腕時計で毎日充電するのは少々面倒です。そこに液晶よりもOLEDよりも高効率・低消費電力のマイクロLEDディスプレイを搭載する価値があると考えられています。

現状ではソニーやサムスンが100インチ以上の大型ディスプレイを事業化し、もし予想通りアップルがアップルウォッチに搭載すれば、大型と小さなディスプレイから事業化が始まり、コストダウンとともにその間のサイズのディスプレイに展開していくシナリオが想定されます。

大型はすでに事業化してコストダウンが始まっていますので、徐々に普及が進んでいくでしょう。小さなディスプレイをどこかの企業が製品化すれば、それもコストダウンが進んでいきます。そのような状況となれば、マイクロLEDの市場は右肩上がりで中長期で伸び続けると予想されます。

Apple Watchで何ができるかについては、こちらの記事「Apple Watch 3 GPSでできること 使いこなす!買ってみた!」をご覧ください。

まとめ

「究極のディスプレイ」であるマイクロLEDを使ったディスプレイが登場しています。小型のマイクロLEDディスプレイがいつ製品化されるのか、注目が集まっています。製品化に成功すれば、そこから本格的な普及が始まる可能性が高そうです。

マイクロLEDディスプレイについてはこちらの記事「マイクロLEDのことがわかるまとめ」にまとめましたのでご覧ください。

マイクロLEDディスプレイ、有機ELと液晶などの関連記事のまとめは、記事「4Kテレビ・コンテンツ・ビデオカメラと有機EL・液晶・8K放送のまとめ」をご覧ください。

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