テクノロジー

有機EL vs 量子ドット液晶、そしてマイクロLEDディスプレイ

投稿日:2018年3月8日 更新日:

2000年代前半からブラウン管から液晶ディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ(FPD)に移り始めてから、何と言ってもディスプレイの花形は大型テレビです。最近は60インチ以上の大型テレビも家電量販店で多数並べられていますが、迫力があり、美しい映像ですね。

日本ではテレビ販売でシャープがトップシェアですが、世界市場では1位がサムスン、2位がLGです。両者の激突が世界のテレビ市場をリードしています。両者の最近の動向について紹介します。

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有機EL vs 量子ドット液晶、LGとサムスンのテレビ戦略

液晶テレビは、2001年にシャープがアクオスを発売開始してから、しばらくの間は世界市場において日本メーカーが大きなシェアを持っていました。しかし、韓国のサムスンおよびLGの猛攻により、シェアを奪われてしまいました。技術がある程度成熟してくると、海外勢にキャッチアップされて、シェアおよび生産が国外に移ってしまうということは色々な工業製品において繰り返されています。

日本勢からシェアを奪った韓国勢も、もちろんそのことを理解していて、次は自分達が中国勢の猛攻に遭うことを想定しています。実際、中国内で次々に最新鋭の液晶パネル工場および有機ELパネル工場が建設されています。そのため常に追いつかれないように新しいものを作り出す努力を必死にしています。

それは研究開発だけでなく、ブランド戦略を含めたマーケティング活動も組み合わせて、猛烈にアピールしているわけです。具体的には、LGおよびサムスンのテレビのラインアップの中のハイエンドに位置するフラッグシップのテレビをどのような製品として、「如何に高性能で素晴らしいテレビであるのか」ということをアピールするわけです。

2017年の米国で開催されたCES2017の時点で、LGが選んだのが有機EL(OLED)テレビ、サムスンが選んだのが量子ドット液晶(QLED)テレビです。両社がそれぞれのテレビが如何に優れていて、最先端のテレビであるかということをアピールしています。

両社とも、これまで多くの液晶テレビを研究開発して販売してきましたが、最先端のテレビはそれらと一線を画して優れているということは、分かりやすく消費者にアピールしなければならないわけです。その点、有機ELは、方式からして従来の液晶テレビと異なりますので、それぞれ長所短所はあっても消費者には「これまでと違う新しいテレビ」という点が伝わりやすいようです。

それに比べるとサムスンの量子ドット液晶テレビは、量子ドットシートを組み込んでいるとは言っても、液晶テレビという点では従来と同じですので、違いをアピールするのに工夫が必要です。そのためにサムスンが編み出したのが、QLED TVという名称です。LGの有機ELテレビ(OLED TV)と1文字違いですので、ライバルとしてアピールしやすいです。

本来のQLEDという用語は、ディスプレイ分野では量子ドットから作られたLED素子のことを意味し、専門家としてはそのような名称をつけることに躊躇するのですが、一般消費者向けのマーケティング戦略としてはさすがという気もします。

このようにLGとサムスンは、それぞれ異なるテレビで真っ向勝負をしています。

LGのOLED TVとサムスンのQLEDはどうなる?

ハイエンドのプレムアムテレビという点では、LGのOLEDの方が受け入れられているようです。前述のように従来の液晶テレビと異なることは簡単に伝わることが勝因のようです。サムスンのQLEDは、LGのOLEDへの対抗心から、同レベルのプレムアムテレビとして同じ価格帯で勝負したのですが、「液晶テレビなのに従来よりも高い」という受け止められ方をされたのではないかと思われます。

しかし、プレミアムテレビはテレビ全体の台数に占める比率は小さく、特に大型OLEDテレビは、生産能力の関係もあって一気に液晶を押し退けて主流となることはないようです。このことは今後の大型OLEDテレビの動向を考える一つの根拠となるでしょう。つまり、ある程度のプレミア感を維持しつつも、生産台数を大きく伸ばせず、少しずつ増えていくというシナリオです。

サムスンのQLEDはどうなるのでしょうか?価格を下げれば売れるかもしれませんが、LGに対抗するプレミアムテレビという役割から考えると安易に価格を下げるわけにはいかない可能性があります。そのようなジレンマなのか、CES2018ではサムスンはQLEDにそれほど重点は置かず、「The Wall」という名称で展示したマイクロLEDディスプレイに力を入れています。

サムスンのQLEDに使用されている量子ドットシートは、テレビの色域を広げる効果がある部材です。8K放送(スーパーハイビジョン放送)が始まり、色域の広いコンテンツが増えてくれば改めて注目が集まる可能性はあります。今後の動向に注目したいです。


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マイクロLEDディスプレイを目指すLGとサムスン

すでに述べましたように、LGとサムスンは、中国勢に追いつかれないように、常に最先端のテレビを研究開発しようとしています。当面はLGが有機ELテレビ、サムスンが量子ドット液晶テレビですが、両社ともその次に来るプレミアムテレビをマイクロLEDディスプレイと考えているようです。サムスンは展示を行いましたし、LGも開発していることを公表しています。

マイクロLEDディスプレイは、ソニーが2012年に55インチのものを初めて展示し、2016年に大型のサイネージ用ディスプレイユニット「CLEDIS」として製品化しました。サムスンもすでに大型のものを開発し、韓国の映画館のシネマスクリーンとして納入しています。

まだテレビ用のマイクロディスプレイの製品化はどこのメーカーも発表していませんが、2020年以降に動きがあるかもしれません。

まとめ

LGによる有機ELテレビとサムスンによる量子ドット液晶テレビが、プレミアムテレビとして注目されています。まだまだテレビの進歩は続いていますので、今後の展開に注目です。

マイクロLEDディスプレイについてはこちらの記事「マイクロLEDのことがわかるまとめ」にまとめましたのでご覧ください。

有機ELについては、こちらの記事「有機ELのまとめ」をご覧ください。

量子ドットディスプレイ関連については、こちらの記事「量子ドットディスプレイ・QLEDのまとめ」をご覧ください。

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