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QLEDとは?Samsungのテレビと本来の意味について解説!

投稿日:2018年4月19日 更新日:

ディスプレイの分野は研究開発競争が激しく、次々に新しい技術が登場してきますので、用語を理解するのも大変ですね。さらに諸事情により、分野内でも用語の使い方が統一されていない場合は、調べても複数の意味で使用されているサイトなどがそれぞれ出てきますので、理解するのが大変です。現在、ディスプレイ分野で注目されているQLEDについて解説します。

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QLEDと言う用語は2つの意味で使われている

QLEDの本来の意味は、「量子ドット Quantum Dotを用いた発光ダイオード Light Emitting Diode」です。ディスプレイの分野では、新しい研究成果が生まれると、特許が出され、その後、学会発表・展示会発表などが行われることがほとんどです。つまり、製品になって販売されるよりもかなり前に、これらの場で専門家によって議論され、名称・専門用語が定められます。

専門用語の使われ方が乱れて、混乱してくると、学会などが主導して定義が確認・周知されることが多いようです。そのような意味で、専門家・ディスプレイ分野内でのQLEDの意味は前述のものです。これはコンセンサスが得られていますが、あえてSamsungが自社のマーケティング・ブランディングのために、CES2017から異なる意味でQLEDという用語を使用し始めました。これが混乱の原因です。

Samsungは、具体的には量子ドットシートをバックライトに組み込んだ液晶ディスプレイのことを、差別化するためにQLEDと呼び始めたのです。ディスプレイの分野ではSamsungの存在感が大きいため、SamsungのQLEDについての記事もインターネット上で多数掲載され、混乱が大きくなりました。

SamsungのQLED TVについて

Samsungは世界でのテレビの販売シェア第1位で、特に第2位のLGをライバル視しています。テレビの販売は、現在も液晶テレビが主流ですが、急激な価格下落に苦しみ、多くの日本メーカーは事業縮小・撤退などの道を選んでいます。それだけに各社のテレビのラインアップの中でも最上位(ハイエンド)の価格帯の製品が利益率が高く、ブランドイメージにも直結するので重要になります。

SamsungもLGも液晶テレビに力を入れていますが、LGは最近は有機ELテレビに特に力を入れ、自社のハイエンドのテレビを有機ELテレビにしました。そして、「液晶テレビよりも有機ELテレビの方が先進的でプレミアムなテレビ」という趣旨の宣伝を行なっています。実際、LCDとOLED(有機EL)というように言葉からして大きく異なるので、一般消費者にも「従来の液晶テレビとは異なる最先端のテレビ」という印象を与えることに成功しているようです。

SamsungはLGと同時期から有機ELの研究開発を続けてきました。スマホのGalaxyに搭載されているうような小型の有機ELの開発には成功しましたが、テレビ用の大型有機ELの開発はうまく行かず、断念しました。そのため液晶に量子ドットシートを搭載したテレビに注力し、LGに対抗することにしたわけです。

しかし、OLEDのような「これまでと違う新しさ」を伝える言葉が無いと、「従来と同じ液晶」という印象になりがちです。そこで生まれたのがOLEDに対抗するQLEDです。Qは量子ドット Quantumの頭文字です。

Samsungの液晶テレビは、量子ドットシートを搭載することにより、色域が広くなりますので、非常に色鮮やかな高画質の液晶テレビです。量子ドット液晶ディスプレイについては、こちらの記事「量子ドット液晶ディスプレイとは?原理・特徴・課題について解説!」をご覧ください。


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本来のQLEDについて

本来のQLEDは、前述のように量子ドット Quantum Dotを用いた発光ダイオード Light Emitting Diode」です。LEDと言えば一般的には無機の半導体でできたものを指します。ノーベル賞の受賞理由になった青色発光ダイオードは、窒化ガリウムの層を作り、電流を流して発光させます。この電流を流すと発光する半導体をナノレベルの微細な粒子にしたものが量子ドットです。同じ半導体の材料でも、粒子のサイズを制御することで発光波長をある範囲で調節することができます。赤・緑・青のそれぞれの波長で発光する量子ドットを用いて作ったものがQLEDです。発光スペクトルは狭く、ディスプレイの広色域を実現する技術です。

前述のSamsungの量子ドットシートは、ナノサイズの半導体(量子ドット)を含んだシートなのですが、青色の光を照射して赤と緑に発光する特性の粒子が含まれています。これは光の波長変換をする量子ドットで、QLEDで用いる電気を光に変換する量子ドットとは異なります。

いずれの量子ドットも、活発な研究開発が進められていますが、耐久性が十分ではないようで、まだ発展途上です。量子ドットシートは製品に搭載された実績がありますが、QLEDはまだ製品化されていません。今後に期待です。

まとめ

ディスプレイ分野で2つの意味で使われている「QLED」について、それぞれの意味を解説しました。いずれも色鮮やかなディスプレイを実現する技術です。

量子ドットディスプレイ関連については、こちらの記事「量子ドットディスプレイ・QLEDのまとめ」をご覧ください。

有機ELテレビと液晶テレビなどの関連記事のまとめは、記事「4Kテレビ・コンテンツ・ビデオカメラと有機EL・液晶・8K放送のまとめ」をご覧ください。

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