ヒートアイランド現象の対策で舗装を遮熱性にする効果は?

ヒートアイランド現象

年々厳しくなる日本の猛暑。東京都心の気温は100年間で3℃上昇しました。地球温暖化の影響も懸念されますが、この内の2℃はヒートアイランド現象によるものと言われています。

都市部でヒートアイランド現象が問題となる原因の一つが、舗装された場所が増え、緑地や土が少なくなっていることです。舗装による影響を緩和するための遮熱性舗装についてみてみましょう。

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夏は暑く冬は寒いのはなぜ?

東京都心の気温をみると、夏は暑く、冬は寒いです。当たり前のことと受け止めているかもしれませんが、そもそもなぜこのような気温の差が生じるのでしょうか?それは、単位面積当たり(1平方メートル当たり)の日射量が、夏と冬で異なるためです。

地球は太陽から照らされ、膨大な光エネルギーを受けています。これらには目で見ることができる可視光だけでなく、赤外線や紫外線も含まれます。これにより地球は温められているわけです。

太陽から受けている光の量は、太陽と地球の距離での変化します。太陽の周りを回る軌道が円ではないので、季節によって太陽から地球が受ける光エネルギーの総量は変化するのですが、その変化はそれほど大きくありません。それよりも地球の地軸が23.4度傾いていることによる影響の方が大きく、季節による気温の変化の原因となっています。

東京付近の北緯35度では夏至の時に、太陽が真上にある時に比べて、単位面先当たりおおよそ98%程度の日射量になります。これが冬至の時には52%程度にまで減少します。如何に太陽光のエネルギーが膨大で、気温に影響を与えているかを理解できるでしょう。

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ヒートアイランド現象の対策に遮熱性舗装は有効か?

上記の太陽光と気温の関係から、太陽光を吸収しやすくなれば気温が上がりやすくなり、反対に太陽光を反射して空に戻せば気温の上昇を抑えやすくなることは理解できるでしょう。

100年前の東京都心と比べて、格段にアスファルトで舗装された場所が増え、緑地や土が減っています。アスファルトは暗い色で光を吸収し、温度が上昇しやすいです。木々の緑や草は、緑色で光合成をし、蒸散作用がありますので、太陽光が当たっても急激な温度上昇を抑える効果が期待できます。土は雨などが染み込んだ後は、内部に水分を含んでいて、水分を蒸発させてある程度急激な温度上昇を緩和させる効果がありますし、また雑草などが生えやすく、放っておけば緑地になるでしょう。

いずれにしても、アスファルトによる舗装率が上がったことが、ヒートアイランド現象の一因になっていることは間違いありません。

しかし、舗装によるメリットもありますので、せっかく舗装した道路を土に戻すということは現実的ではありません。そこで遮熱性舗装などのヒートアイランド現象を緩和させるための舗装が開発されました。

基本的にはアスファルト舗装面に遮熱コート剤を塗布したもので、太陽光の中の主に赤外線を反射する機能があります。可視光を全く反射しないわけではないのですが、可視光を強く反射してしまうと、ドライバーが路面を見た時に眩しくなってしまうため、主に熱を伝える赤外線を反射するように設計されています。

遮熱性舗装を使用すると、一般の舗装に比べて、夏場のもっとも路面温度が高くなる時間帯で10℃以上温度を下げる効果があることが確認されています。これが日本の都市部の多くの舗装で使用されていけば、確実にヒートアイランド現象緩和の効果があるでしょう。特に遮熱性舗装の上を歩く、走る人には体感できるほどの差があるはずです。


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ヒートアイランド現象の対策には舗装以外も重要

都市部のヒートアイランド現象の原因はアスファルトの舗装だけではありません。ビルや橋などのコンクリート等で作られた構造物も太陽光を吸収し、温度が上昇しやすいです。ビルなどは、屋上や壁面を緑地化して遮光する、あるいは反射フィルムなどを利用して太陽光を反射するなどによって、温度の上昇を抑えることが有効です。

また都市部には多くの人が居て、冷房の排熱、多くの電気製品などからの排熱によって、気温が上昇しやすくなります。建物の断熱性の向上や機器の低消費電力化などによって、これらの人工的な排熱を抑制することも重要です。

このように遮熱舗装の普及はヒートアイランド現象の緩和に有効なはずですが、それ以外にも多くの原因があり、実行可能な対策を総動員する必要があるでしょう。

まとめ

ヒートアイランド現象を緩和するための遮熱性舗装について紹介しました。地道にヒートアイランド現象を抑制する努力を進めていくべきでしょう。

気温とアスファルトの温度との関係についてこちらの記事で紹介しています。

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