プラスチック

プラスチックの環境問題の対策は?リサイクルは意味があるの?

投稿日:2018年11月24日 更新日:

マイクロプラスチックによる海洋汚染が世界的な問題となっています。マイクロプラスチックの元になる大きなプラスチックごみの海洋への流入も増えていますし、海洋以外へのプラスチックゴミの拡散も増えています。このままでは便利なプラスチックの利用そのものを規制する方向に進みそうです。プラスチックの環境問題の対策はどのようになっているのでしょうか?

スポンサードリンク

プラスチックの環境問題の対策は?

日本の産業廃棄物の量は、環境省によれば約3億9,284万トン(2014年度の推計値)で、この内の廃プラスチック類の割合は2%以下です(*重量比率)。産業廃棄物のほとんどは汚泥、動物のふん尿、がれき類であり、プラスチック類の割合は非常に少ないことが分かります。また一般廃棄物は2016年度に4,317万トンで、2000年度の5,487万トンから着実に減少傾向にあります。2016年度の全一般廃棄物に対するプラスチックゴミの重量比率は11.1%です。一般廃棄物の中では最も多い紙類(33.8%)、厨芥類(30.1%)に次ぐ量です。

この数十年間、世界の一般廃棄物の排出量は増大しています。2013年のOECD加盟国の一人当たりの排出量は520kgで、日本の約350kgはかなり少ないです。しかし、排出量としてはOECD諸国の中では人口が多い方なので、米国、ドイツに次ぐ量です。そのため日本では廃プラスチックをリサイクルして有効利用する取り組みが続けられ、2016年には有効利用率が84%に達しています。

このように廃棄物におけるプラスチックの重量比率は少なく、さらに高い有効利用率を達成しているにもかかわらず、なぜプラスチックの環境問題が大きな問題になってしまうのでしょうか?1つの原因は、廃プラスチックを正しい回収ルートで回収できずに、環境中に放出されてしまう量が必ず存在することです。またリサイクルできずに最終処分場などに埋め立てられたものが、細かくバラバラになり、処分場から流出するものもあると言われています。

「環境問題」という言葉には多くの問題が含まれており、この記事ですべてをカバーすることはできません。マイクロプラスチックなどの「ゴミの環境中への放出を減らす」と「地球温暖化ガス排出抑制」の2つの論点で考えたいと思います。有効なプラスチックの環境問題対策はあるのでしょうか?

プラスチックの環境問題にリサイクルは意味があるの?

プラスチックのリサイクルは、主にマテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、サーマルリサイクルがあります。この中でサーマルリサイクルが最も多く、焼却され、発生する熱・排ガスを発電等に利用しています。次に多いのがマテリアルリサイクルで、回収した廃プラスチックを分別・粉砕し、それを使用して別のプラスチックの成形品を作っています。日本はこれまで15%程度の廃プラスチックを輸出していました。その主要な輸出先であった中国が2018年1月から輸入禁止措置を取り、他の東南アジア諸国も追随する動きを見せていますので、今後はその対応しなければなりません。ケミカルリサイクルは、廃プラスチックを原料に分解したり、他の化学物質に変え、それらを再度利用する方法です。純度の高い化学物質にすることで、再度高品質のプラスチックの原料に利用できるのですが、そのプロセスで最もエネルギーを使用するために割合としては最も少ないです。

このような廃プラスチックのリサイクルは、環境問題を考えた時に意味があるのでしょうか?まず「ゴミの環境中への放出を減らす」という点では、非常に大きな貢献をしていることは間違いないでしょう。ゴミの不法投棄を減らすためには、ゴミを適切に回収しなければなりません。ゴミを積極的に回収するためには、回収する事業者に何らかの経済的なメリットがなければならず、回収したゴミをリサイクルする事業者に買い取っても貰う必要があります。このシステムが上手く回らなければ、不法投棄がされるプラスチックゴミが増える一方ですので、廃プラスチックの有効利用率が84%を達成した日本のシステムは極めて優秀と言えるでしょう。プラスチックゴミ問題を啓蒙し、さらに多くの人々がプラスチックの回収に協力してもらえるようにすべきでしょう。リサイクルシステムがありますので、不法投棄をゼロにできれば大きく前進するはずです。

日本の最終処分場の受け入れ能力は残り少ないということが何年も前から言われています。この観点からも、廃プラスチックの有効利用はもはや必須です。


スポンサードリンク

プラスチックの環境問題に生分解性プラスチックとバイオマスプラスチックは役立つの?

廃プラスチックが、100%回収されて、さらに有効利用されれば、環境中に放出される廃プラスチックはほぼ無くなります。しかし、現実は適切に回収されずに環境中に投棄されてしまう廃プラスチックが存在します。それは意図的に投棄されるものもあれば、不可抗力で放出されてしまうものもあります。現在、海洋中に流出した比較的大きな廃プラスチックを調査した所、日本語が印刷されたものが多く、東日本大震災の津波によって流出したのではないかと言われています。このように環境中に放出されてしまうプラスチックゴミを完全にゼロにすることは難しく、できるだけ多くのプラスチックを生分解性プラスチックに切り替えた方が良いと考えられます。海洋中で微生物によって水と二酸化炭素に分解するプラスチックであれば、やがては自然に還り、マイクロプラスチックとして長期間海洋中を漂うこともないと期待されるからです。

またバイオマスプラスチックあるいは植物性プラスチックと呼ばれるプラスチックも注目されています。これらは「再生可能な生物由来の有機物の資源」から作られたプラスチックのことです。生分解性プラスチックに該当するものもあれば、該当しないものもあることには注意が必要です。これらは「地球温暖化ガス排出抑制」という環境問題のために開発されました。生物が空気中の二酸化炭素を固定して作り出した有機化合物からプラスチックを作れば、使用後にプラスチックを焼却して二酸化炭素を排出しても、空気中の二酸化炭素は増えない「カーボンニュートラル」という概念に基づいています。しかし、本当に二酸化炭素を増加させないかという点では、原料の製造等まで遡る精密なLCAが必要となり、現実的にはかなり難しいようです。例えば代表的な植物性プラスチックであるポリ乳酸では、原料となる糖類はジャガイモやトウモロコシなどから得られるデンプンに酵素を作用させて作られています。農作物を育てるには、肥料や水、農耕機などが必要で、これらには多量の石油が使用されており、さらにプラスチックを合成するプロセスにおいてもエネルギーを使用するからです。将来、多くのエネルギーを太陽光・風力発電などの再生可能エネルギーから作り出すことができるようになれば、バイオマスプラスチック・植物性プラスチックの製造に要するエネルギーに化石燃料を使用する必要がなくなり、本当の意味でのカーボンニュートラルが達成できるかもしれません。

まとめ

プラスチックの環境問題を抑制するために最も効果がある方法は、プラスチックの使用量を減らすことです。日本では人口減少の影響もあり、着実に使用量を減らしていけるでしょう。しかし、まったくプラスチックを使用しないということは現実的ではなく、使用後は適切に廃棄して回収・リサイクルするようにしましょう。さらに生分解性プラスチックへの切り替えを進めていくと良いでしょう。

PETボトルのリサイクルについては、こちらの記事「PETボトルはリサイクルして再使用できるの?リデュースも!」で紹介しています。

ごみの分類とリサイクルの関係、さらに望ましいリデュースについては、こちらの記事「ゴミの分類は意味があるの?リサイクルとリデュース」をご覧ください。

スポンサードリンク


-プラスチック
-,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。

関連記事

生分解性プラスチックの種類と用途と問題点は?

スポンサードリンク マイクロプラスチックによる海洋汚染が問題になっています。このまま海洋中のマイクロプラスチックが増えていくと、海洋中の魚の量よりもプラスチックの量の方が多くなる時が近い将来に訪れ …

PETボトルはリサイクルして再使用できるの?リデュースも!

スポンサードリンク プラスチックが海洋に流れ込み、海洋生物の体内に侵入し、その命を奪ってしまう問題が広く知られるようになりました。大きなプラスチックが細かくなったマイクロプラスチック問題も深刻です …

生分解性プラスチック製品を選んだ方が良い用途は?

スポンサードリンク 海に流れ込んだプラスチック製品が、海洋生物の命を奪ったり、深刻なダメージを与えるなどの被害が明らかになっています。さらにプラスチックが細かく崩壊したマイクロプラスチックが海洋生 …

マイクロプラスチックの対策は日本と世界ではどうなるの?

スポンサードリンク マイクロプラスチックによる海洋汚染が世界的な問題となっています。海水中に浮遊するマイクロプラスチックには多くの有害化学物質が付着し、海洋生物の体内に取り込まれます。さらに食物連 …

生分解性プラスチックの課題と問題点!メーカーの事情は?

スポンサードリンク マイクロプラスチックによる海洋汚染の深刻さが注目されるようになり、その解決方法として生分解性プラスチックの使用に期待が寄せられています。すでにいくつかの生分解性プラスチックが製 …

最近のコメント