プラスチック

ゴミの分類は意味があるの?リサイクルとリデュース

投稿日:2018年11月25日 更新日:

マイクロプラスチックによる海洋汚染が世界的な問題となっています。人間が使用したプラスチックが海に流れ込み、このままでは海にいる生物の量よりもプラスチックの量の方が多くなってしまうなんて驚きです。地球環境を守るために、この機会にゴミ問題について深く考えることが必要でしょう。

スポンサードリンク

ゴミの分類は意味があるの?

ゴミには大きく分けると産業廃棄物と一般廃棄物があります。産業廃棄物の方が量が多く、年間約3億9,284万トン(2014年度の環境省推計値)です。そのほとんどは汚泥(43.3%)、動物のふん尿(20.6%)、がれき類(16.4%)であり、プラスチック類は1.7%です。一般の方々に関係の深い一般廃棄物は20016年度に4,317万トンで、その内容は多いものから順番に紙類(33.8%)、厨芥類(30.1%)、プラスチック類(11.1%)です。回収されたプラスチック類の84%はリサイクルにより有効利用されています。また古紙の利用率は64.1%となっています。

現在は、ほとんどの自治体でゴミを分類して回収しています。これが正直言ってかなり面倒です。特に紙とプラスチックを両方使っているパッケージ等があると、それぞれを分ける作業などは時間がかかり、「紙もプラスチックも両方共焼却炉で燃やせるのだから、分別する必要はないのではないか?」と感じることもよくあります。またわざわざ分別しても、最後に一緒にして焼却炉で燃やしてしまう場合もあると言う話も聞きますので、バカバカしく感じることもあります。本当にゴミの分類は意味があるのでしょうか?

1つはっきりしていることは、ゴミを適切に回収しなければ、環境中に放出されてしまうということです。現在、日本中のいろいろな場所で投棄されているゴミがあります。河川や海に投棄されたプラスチックは、最終的にはマイクロプラスチックとなり、海洋汚染の原因となります。ゴミ問題を考えた時にプラスチックゴミや紙ゴミのリサイクルシステムが機能していることは、非常に意味があり、さらに世界的にみても高い有効利用率であることは、ゴミを適切に分類し、回収することに協力する多くの市民がいるおかげです。このことだけ考えてみても、「ゴミを分類する意味はある」と言えます。

リサイクルについては、より複雑な議論があります。ゴミを焼却し、その熱と排気を利用して発電するサーマルリサイクルは良いけれども、マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルは多くのエネルギーを使用するのでやらない方が良いのではないかという指摘があります。そしてサーマルリサイクルだけであれば、燃やせるか否かの分類だけでよく、紙ゴミとプラスチックゴミを分ける必要も無いように思います。リサイクルに次項でさらに述べます。

ゴミを分類してリサイクルする

ゴミ問題のことを考えると、ゴミを環境中に放出せずに回収することが必要であることは前述しました。ゴミの最終処分場のスペースが残り少なく、回収したゴミをそのまますべて埋め立てるわけには行きません。できるだけリサイクルにより有効利用する必要があります。

まずプラスチックのリサイクルについて考えます。プラスチックの多くは原油から取り出すナフサを原料としています。一部、植物などを原料にしたものがあります。そのため前者を石油系プラスチック、後者を植物性プラスチックと呼びます。

石油系プラスチックのゴミを、何らかの処理をして原料に戻して、その原料から新品と同じ品質のプラスチックを再度作ることができます。これをケミカルリサイクルと呼びます。ケミカルリサイクルは資源の循環という点で究極のリサイクルのように見えますが、実はそのプロセス中で多くのエネルギーを使用し、それらが火力発電で作られた電力であった場合は、そもそもその燃料となる石油から新品のプラスチックを作った方がエネルギー収支的に良い場合もあります。特に廃プラスチックには不純物が混入しやすく、それらを取り除くことにも膨大なエネルギーが必要だからです。したがって、プラスチックのリサイクルの中でもケミカルリサイクルの割合はもっとも少ないです。

次にプラスチックのマテリアルリサイクルについて見ています。これはプラスチックを原料まで戻すのではなく、粉砕し、再度溶融させて、別のプラスチック成形品にする方法です。マテリアルリサイクルは、廃プラスチックを原料まで戻すわけではないので、比較的投入するエネルギーが少なくて済みます。問題は、プラスチックの品質が下がるということです。そのためマテリアルリサイクルで再利用されるプラスチックの用途が限られてしまうことになります。実は、日本のマテリアルリサイクルされている廃プラスチックの多くは、中国などの海外へ輸出されていました。しかし、日本や欧米諸国から輸出されるプラスチックゴミの品質が低下し、これまで輸入していた国々でもプラスチックゴミによる環境汚染が問題となってきたため、その主要な輸出先であった中国が2018年1月から輸入禁止措置を取り、他の東南アジア諸国も追随する動きを見せています。したがって、日本の廃プラスチックでマテリアルリサイクルできるものは減っていく可能性があります。

最後にもっとも多いプラスチックのサーマルリサイクルについて見てみます。プラスチックを焼却炉で燃やし、その熱と排気で発電等を行う方法です。これは燃料として廃プラスチックを使用するわけですので、エネルギー収支からはもっとも優れていると言えます。現時点では、石油由来のプラスチックを燃やすことは化石燃料を燃やすことと同じですので、温室効果ガス排出という点が問題視されますが、多くの火力発電所で石油や天然ガスを燃やしているのであればそれらを少しでも代替できれば同じことです。焼却炉を安定して燃焼させ、効率よく発電するためには、廃プラスチックにできるだけ異物が混ざらないようにする必要があります。この点ではプラスチックゴミの分類は意味があると言えるでしょう。

今後、太陽光発電や風力発電などで作った電気を充電できる蓄電池の価格が下がり、これらの電力のコストが下がって、主要な電力源となれば、化石燃料を燃やさずにケミカルリサイクルができるようになるかもしれません。そうなるとリサイクルのメインがケミカルリサイクルになる日が来る可能性があります。実際、リチウムイオンバッテリーの価格下落のスピードも速く、それほど遠くない将来に実現する可能性はあるでしょう。

紙ゴミについては、2017年度に古紙回収率が80.9%、古紙利用率が64.1%であることを考えると、非常に高い割合で紙資源が循環していることがわかります。日本の紙消費量は年々減少しており、古紙が国内だけでは消費し切れず、海外へ輸出しています。紙の原料であるパルプは木材から得られていることを考えると、紙をリサイクルすることは伐採する木材を減らすことにも繋がります。地球環境を守るためにはむしろ植林して森林を増やすべきですので、紙のリサイクルにある程度エネルギーが必要であるとしても、リサイクルはすべきでしょう。そのためには紙ゴミは分類して回収する必要があります。


スポンサードリンク

ゴミをリサイクルするよりも減らす

ここまでごみ問題とリサイクルについて述べてきましたが、すでに指摘されていることとして明らかなのは、環境に対してもっと望ましいのはプラスチックや紙の使用量を減らすことです。しかし、「使用量を減らそう!」という活動は、当然のことながらメーカーは積極的に行いませんし、財界と強く結びついている行政も控えめにしか行わないように見受けられます。

幸か不幸か、世界的にマイクロプラスチックの問題が注目され、飲食店ではプラスチックのストローの廃止、店舗ではプラスチックのレジ袋の廃止などを始める動きがあります。欧州などでは使い捨てのプラスチックを規制する動きもあります。この機会に私達も日常でのプラスチック製品の利用について見直してみましょう。プラスチックゴミの中ではレジ袋などの店舗での袋がかなりの量ありますので、多くの人がエコバッグを使うことによってかなりプラスチックごみの削減が期待できます。

紙については、すでに国内での需要は減少しています。電子化の流れでオフィス用紙や雑誌・書籍・新聞などの紙需要が減少しているためです。できるだけ紙版よりも電子版を使う人が増えれば、さらに減らせるはずです。年賀状の枚数も年々減少していますが、このように紙を使用せずにメールやSNSでコミュニケーションできれば、さらに紙ゴミを減らせるでしょう。冒頭で述べた、一般廃棄物の中でもっとも多いのが紙類であることを考えれば、かなり減らせるはずです。最近はインターネットショッピングの影響で、紙の梱包材の需要は増加しています。しかし、今後は人口減少の影響で需要が減っていく効果の方が大きそうです。

まとめ

日本のゴミ問題と、発生量の多い紙ゴミとプラスチックゴミのリサイクルについて紹介しました。エコバックやITの活用によって、もっとプラスチックゴミと紙ゴミは減らせるはずです。多くの人の協力が必要ですね。

プラスチックのリサイクルには意味があるのでしょうか?こちらの記事「プラスチックの環境問題の対策は?リサイクルは意味があるの?」で紹介しています。

スポンサードリンク


-プラスチック
-,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。

関連記事

マイクロプラスチックによる汚染の影響と対策は?

スポンサードリンク 最近、テレビのニュースなどで「マイクロプラスチック」という言葉をよく耳にするようになりました。小さなプラスチックが海洋に広がり、汚染しているということらしいです。そしてその対策 …

生分解性プラスチックの課題と問題点!メーカーの事情は?

スポンサードリンク マイクロプラスチックによる海洋汚染の深刻さが注目されるようになり、その解決方法として生分解性プラスチックの使用に期待が寄せられています。すでにいくつかの生分解性プラスチックが製 …

生分解性プラスチックは海洋汚染防止に役立つのか?

スポンサードリンク マイクロプラスチックによる海洋汚染が世界的な問題となり、生分解性プラスチックへの期待が高まっています。生分解性プラスチックはこれまでにも何度か注目され、ブームが去ると下火になる …

生分解性プラスチック製品を選んだ方が良い用途は?

スポンサードリンク 海に流れ込んだプラスチック製品が、海洋生物の命を奪ったり、深刻なダメージを与えるなどの被害が明らかになっています。さらにプラスチックが細かく崩壊したマイクロプラスチックが海洋生 …

プラスチックの環境問題の対策は?リサイクルは意味があるの?

スポンサードリンク マイクロプラスチックによる海洋汚染が世界的な問題となっています。マイクロプラスチックの元になる大きなプラスチックごみの海洋への流入も増えていますし、海洋以外へのプラスチックゴミ …

最近のコメント