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コントラストの高い液晶テレビはできるのか?普及する?

投稿日:2019年1月24日 更新日:

有機ELテレビと液晶テレビの画質を比較した時に、液晶の弱点の一つとして挙げられるのはコントラストです。現状の製品では、有機ELテレビの方が黒らしい「締まった黒」を表示できることから、人気があります。コントラストの高い液晶テレビはできるのでしょうか?

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コントラストの高い液晶テレビはできるのか?

テレビのコントラストとは、最も明るい白を表示した時の明るさ(白輝度)を、最も暗い黒を表示した時の明るさ(黒輝度)で割った値です。[コントラスト]=[白輝度]/[黒輝度]ですので、コントラストが同じテレビでも、白輝度および黒輝度の値が異なることがあり、実際に見た時の画質に違いがあります。

有機ELは黒輝度が非常に低く、黒が黒らしく見えるので画面内に黒が多い画像ほどメリハリのある表示が可能です。反面、画面の劣化を抑制するために、白輝度がある値以下になるように設定されています。液晶テレビでは、明るくしても寿命が著しく短くなることはないので、高い白輝度が表示できます。HDRで画面内に眩しいほど明るい画像を表示する場合には有利です。反面、黒を表示したくてもバックライトからの光が液晶パネルからわずかに漏れてしまうため、黒輝度が有機ELよりも高くなります。これによりコントラストは一般的に有機ELテレビよりも液晶テレビの方が低くなります。

有機ELテレビは、画素ごとに電流を流して発光させているため、黒表示をする時は電流を流さなければ発光しなくなります。しかし、液晶テレビは液晶パネルの背面に面状の光源(バックライト)を配置し、電圧を印加して液晶を駆動させ、偏光板によってバックライトからの光を遮ることで黒を表示します。この時に光を完全には遮れないところが弱点とされているわけです。

このような特性の液晶テレビですが、多くの研究開発が行われ、黒輝度を低く抑え、高いコントラストを達成した液晶(*必ずしもテレビではない)が発表されています。つまり、コントラストの高い液晶テレビは技術的には可能です。

コントラストの高い液晶テレビを作る方法

すでに公表されているコントラストの高い液晶テレビを作る方法は、主に以下の2つの方法によるものです。

1.直下式バックライトのローカルディミング

前述のように液晶のコントラストを低下させる原因は、液晶と偏光板により、バックライトの光を十分に遮ることができないことにあります。したがって、バックライトの発光面を区分し、表示する画像に合わせて区分ごとに明るさを調節ことにより、コントラストを高めようとする方法がローカルディミングです。黒を表示する区画はバックライトをオフにできれば、光が漏れてきませんので理想的です。現状ではの問題は、テレビの画素数に比べて区画数が少ないことです。すでに直下式バックライトで、LEDの数を増やし、それぞれのLEDにそれぞれの区画を担当させることによって、ある程度の区画数の液晶テレビは市販されています。これまでで最も区画数の多いのがソニーのマスタードライブを搭載したモデルで、区画数は1000個程度と言われています(*正確な区画数の公式発表はない)。展示会では、ミニLEDを数万〜数十万個敷き詰め、区画数を5,000〜1万としたバックライトを使用した液晶テレビも中国メーカー(Hisense、Konka)などから発表されています。

2.デュアルセル液晶

液晶ディスプレイのコントラストは、VA方式で3,000〜5,000:1、IPS方式で1,200〜2,000:1程度です。デュアルセル液晶とは、この液晶パネルを2枚重ねてコントラストを向上させようとうしたものです。発想がシンプルなだけに原理的には確実で、すでにシャープ、パナソニックなどからコントラスト100万対1以上の試作品が発表されています(*これらには前述のローカルディミングも併用されています)。

ソニーの31型4K液晶マスターモニター「BVM-HX310」は、どのような方法で高コントラストを達成しているのか公表されていません。

しかし、液晶においても技術的には有機ELのように100万対1レベルの高コントラストが達成できることは、明らかです。


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コントラストの高い液晶テレビは普及する?

前述のように直下式バックライトのローカルディミングを用いたある程度コントラストの高い液晶テレビが、すでに製品化しています。4K/8K放送が始まり、ダイナミンクレンジが広いコンテンツが視聴できるようになってきましたので、高コントラストの大型テレビを求めるニーズは高くなる可能性があります。大型テレビについては、LED数を増やせばコントラストを高くできます。

一つの鍵は、LEDの価格低下と数千個以上の小さなLEDを正確に並べて実装するコストでしょう。バックライトの冷陰極管がLEDに代替され始めた十数年前は、LEDは高価で、如何にLEDの個数を減らすことができるのかが設計の重要ポイントでした。その後、大量のLEDが生産され、大きく価格が低下したことは、LED照明の価格低下を見てもよくわかります。このことが多数のLEDを使用する設計を可能にしています。LEDの数が多くなると、それを正確に配置して、配線・取り付けする作業も大変になります。現在はこの工程の効率化に多くの企業が取り組んでいるようです。徐々に価格が下がり、普及していくのではないでしょうか?

デュアルセル液晶についてもコストと性能のバランスの問題と言えるでしょう。ローカルディミングだけで十分なのか、デュアルセル液晶を使い、LEDの個数をそこそこに抑えた方が価格・性能のバランスが良くなるのか、今後、発表される試作機の性能を注視してみたいです。

まとめ

コントラストが高い液晶を作る方法とこれまで発表された製品・試作機などについて紹介しました。技術的には十分に可能ですので、あとはコストの問題ですね。

ソニーが製品化した最高画質の液晶テレビについては、こちらの記事「ソニーは液晶テレビで最高画質を追求!Z9Fシリーズ!」で紹介しました。

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