量子ドットディスプレイ・QLEDを詳しく解説!

量子ドットディスプレイ

液晶ディスプレイの色域を広げる(表示できる色数を多くする)技術として、「量子ドット」が注目されています。すでに量子ドットを搭載した液晶ディスプレイが、テレビやモニターなどとして製品化され、鮮やかな表示を可能としています。量子ドットのについて以下にまとめます。

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量子ドットディスプレイとは?原理・特徴・課題について解説!

ディスプレイに利用する「量子ドット」とは、直径数nm~20nmの発光する半導体粒子です。主に青色LEDからの光を量子ドットに照射し、緑色および赤色の光に波長変換します。量子ドットの直径を設計した大きさに制御することで、緑色および赤色の光の波長スペクトル幅を狭くすることができます。液晶ディスプレイでは赤・緑・青の三原色の光を混ぜて白色を作り、さらに三原色の比率を変えて様々な色を作り出すことができます。三原色のそれぞれの波長スペクトル幅が狭いほど、色純度が高くなり、色域が広がります(表示できる色数が多くなります)。このような特徴から、液晶ディスプレイを広色域化する技術として注目されています。

これまでに「量子ドットをガラス管に封入し、エッジライト式の導光板の入光部に配置するもの」と「量子ドットを透明なプラスチックフィルム中に混ぜ込み、バックライトの出射面に配置するもの」が製品化された実績がありますが、現在は後者のフィルム中に混ぜ込んだもののみが製品として利用されています。

現時点での量子ドットの主要な課題は以下の3つです。

1.量子ドットの主要な原料であるカドミウム(Cd)の毒性が高い

2.耐久性が十分ではない

3.コストが高い

これらを克服するために各社が研究開発を続けています。以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事:量子ドットディスプレイとは?原理・特徴・課題について解説!

QLEDとは?Samsungのテレビと本来の意味について解説!

QLEDという用語がディスプレイの分野で使われていますが、どのような意味なのでしょうか?実は2つの意味で使用されています。1つは、量子ドットを搭載したSamsungの液晶テレビで、マーケティング的な目的で「QLED TV」と命名されています。もう1つは本来の学術的な意味で、量子ドットを用いたLEDのことです。学術的な意味での使い方が先なのですが、Samsungが商業的に使い始めてからは、そちらの方が有名になりました。研究開発が活発に行われ、市場規模も大きいディスプレイの分野ではこのようなことがあります。

Samsungの長年のライバルは同じ韓国のLGです。LGは、大型テレビのハイエンド製品は有機EL(OLED)を選び、従来からの液晶テレビと差別化する戦略を進めました。確かに有機ELは根本的に液晶とは異なる方式ですので、液晶には無い極めて高いコントラストと締まった黒が表示できる特徴もあり、一般の消費者にもわかりやすく、成功を収めています。SamsungはLGの有機ELテレビ(OLED TV)に対抗しなければならないため、「QLED TV」として売り出したわけです。

学術的な意味でのQLEDとは、「量子ドットを用いたLED」ということを前述しました。さらに詳しく説明すると、発光層に量子ドットを用い、電流を流すことでそれらが発光するエレクトロルミネッセンスを利用するものです。誤解しやすいのは、青色LEDの発光面の上に量子ドットを配置したLEDです。これは青い光によって量子ドットが励起され、波長変換によって赤色や緑色の光を放出し、赤色・緑色・青色が混ざって白色になるように作られています。つまり、量子ドットのフォトルミネッセンスを利用するタイプで、前述のエレクトロルミネッセンスではないのでQLEDではありません。詳しくは以下の記事で解説しています。

関連記事:QLEDとは?Samsungのテレビと本来の意味について解説!


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量子ドットディスプレイのメーカーの最新動向

量子ドットディスプレイに関係するメーカーの中には、量子ドットそのものを製造するメーカー、量子ドット混ぜ込んだ光学フィルムなどを作る部材メーカー、量子ドット部材を組み込んだディスプレイを作るメーカーなどがあります。これらそれぞれのメーカーについて最新の動向を紹介します。量子ドットメーカーとしては、QD Visionを買収したSamsungとNanosysや、日本のNSマテリアルズ、昭栄化学工業などがあります。量子ドットを混ぜ込んだ光学フィルムは、Samsung系列のフィルムメーカーや日立化成が製造しています。ディスプレイはSamsungが大型テレビとしてもっとも力を入れており、米国のVIZIOも最近発売しました。以下の記事で解説しています。

関連記事:量子ドットディスプレイのメーカーの最新動向

量子ドットディスプレイのモニターが登場!広色域は魅力?

量子ドットを搭載した液晶ディスプレイは、主に韓国Samsungが力を入れており、LGの有機ELテレビに対抗するハイエンドの液晶テレビとして市場に投入しています。その特徴は広色域(表示できる色数が多い)にあり、鮮やかな画像の表示が可能です。最近、量子ドットを用いた液晶ディスプレイモニターの発売が日本のアイ・オー・データからありました。いよいよパソコンなどのモニターにも量子ドットが搭載され始めます。これは正確な色表現を求めるユーザーには高い評価を得られるでしょう。同じ画像でもディスプレイによって微妙に色が変わりますが、広色域のディスプレイになればより本物に近い色になります。以下の記事で解説しています。

関連記事:量子ドットディスプレイのモニターが登場!広色域は魅力?

量子ドットディスプレイの色域を比較してみる!改善する?

量子ドットを搭載した液晶ディスプレイが製品化されています。現時点で日本国内で購入できるのは、量子ドットディスプレイの液晶モニターです。量子ドットは、液晶ディスプレイの色域を拡大するために用いられているのですが、どの程度の色域となるのでしょうか?量子ドットの最先端の研究開発は、国際会議や論文等で発表されていますが、実際に購入できる製品がどの程度の性能であるのかをチェックしてみました。確かに従来の液晶ディスプレイと比べると、かなり色域が広く、表示可能な色数も多くなっています。しかし、色域を拡大する技術は量子ドットだけではありません。量子ドットを使用していない液晶ディスプレイでも広色域化された製品があります。それらの色域も調べ、量子ドット液晶ディスプレイの色域と比較してみました。以下の記事で解説しています。

関連記事:量子ドットディスプレイの色域を比較してみる!改善する?

量子ドットフィルムとカラーフィルターはどちらが勝つ?

量子ドットが液晶ディスプレイの広色域化に利用されています。その方式にはいくつかありますが、現在は量子ドットフィルムをバックライト上部に配置する方式が主流で、他の方式は販売されている製品としては見当たりません。製品化を目指して、液晶ディスプレイのカラーフィルター部分に、通常のカラーフィルターに替えて量子ドットを塗布したものを使用する「量子ドットカラーフィルター方式」の研究開発が進められています。バックライトに青色発光ダイオードを用い、量子ドットカラーフィルターにより画素レベルで赤色と緑色に変換します。青色の画素はそのままバックライトからの青色光を通過させます。この方式は、マイクロLEDディスプレイにも適用できるため、注目されています。以下の記事で解説しています。

関連記事:量子ドットフィルムとカラーフィルターはどちらが勝つ?

カドミウムフリーの量子ドットは?

量子ドットは、液晶ディスプレイの広色域化に利用されています。しかし、現在の技術では、効率を高めるためにカドミウムを使用するため、その毒性が懸念されています。カドミウムを用いない「カドミウムフリー」の量子ドットとしては、「インジウムを用いる方法」と「ペロブスカイトを用いる方法」が研究開発されています。インジウムを用いた量子ドットは、効率がカドミウムを用いた量子ドットよりも低いのですが、両方を混ぜてカドミウム添加濃度を下げ、RoHS指令に適合しながら、ある程度の効率を達成するような工夫が行われています。ペロブスカイトを用いた量子ドットは、現状では学会発表レベルのようです。以下の記事で解説しています。

関連記事:量子ドットのカドミウムの課題は解決できるのか?規制は?

量子ドットLED技術「QLED」とは?TCLが4Kテレビを日本で販売!

中国の液晶テレビメーカーであるTCLの日本法人「TCLジャパンエレクトロニクス」が、日本のテレビ市場に本格参入することを発表しました。TCLは、サムスンとLGに次いで世界のテレビ市場でシェア第3位のメーカーです。中国メーカーとしては、すでにハイセンスが日本のテレビ市場に参入し、さらに東芝映像ソリューションを買収し、レグザブランドでも展開しています。さらにTCLも売上を伸ばしていけば、いよいよ日本のテレビ市場も中国勢の猛攻を受ける時代となるのかもしれません。TCLのテレビのフラッグシップモデルは、量子ドットフィルムを搭載したテレビです。TCLはすでに海外で積極的に量子ドットを搭載した液晶テレビを販売しています。日本でも量子ドットを搭載した液晶テレビが普及するか注目です。以下の記事で解説しています。

関連記事:量子ドットLED技術「QLED」とは?TCLが4Kテレビを日本で販売!

サムスンの注力するQD-OLED(量子ドット有機EL)とは?

韓国サムスンは、2019年後半にQD-OLED(量子ドット有機EL)に注力する方針を明らかにしました。ハイエンドの大型テレビ向けの新規開発パネルとして、2021年の販売を目指して研究開発を進めていくとのことです。

サムスンは、これまで同社のハイエンドのテレビはQLED-TVをラインナップしていました。これは液晶テレビのバックライト部分に量子ドット(QD)シートを組み込んだもので、従来の液晶テレビよりも色域が広く、鮮やかな色表示が可能です。ところが一般の消費者からすると、要するに液晶テレビなので従来の液晶テレビとの違いが伝わりにくく、ライバルのLGの有機ELに対して劣勢となりました。そこに中国勢の液晶パネルの大量生産と価格低下が追い打ちをかけました。

これらに対抗するため、従来のテレビ用パネルと違う、新しいパネルを使用した「新しいテレビ」としてアピールするためにQD-OLEDを選択したと考えられます。これは青色有機ELの上に、画素ごとに赤色と緑色の量子ドットを塗り分けた構造となっており、これまでに無い新しいテレビと言えます。詳しくは以下の記事で紹介しています。

関連記事:サムスンの注力するQD-OLED(量子ドット有機EL)とは?

まとめ

量子ドットディスプレイについてまとめました。現段階では、量子ドットを用いることにより、液晶ディスプレイで最高峰の画質を実現しています。

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