4K・8K・ディスプレイ

量子ドットフィルムとカラーフィルターはどちらが勝つ?

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量子ドットディスプレイの販売が進められています。量子ドットディスプレイとは、量子ドットを使用した液晶ディスプレイのことを指します。これまでにいくつかの方式の製品が登場しましたが、現時点では量子ドットフィルムを用いたものが主流です。また量子ドットをカラーフィルターの替わりに用いたものの研究開発が進められています。これらについて解説します。

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量子ドットフィルムとカラーフィルターとは?

量子ドットを使用した液晶ディスプレイは、ソニーが世界で初めて2013年7月5日に液晶テレビとして発売しました。この製品には、ガラス管に封入した量子ドットが用いられ、エッジライト式バックライトの導光板の入光部に配置されていました。しかし、この方式はこのモデルのみで、これ以降は他社製品でも採用されていません。

現在主流なのは、ポリマーフィルム中に量子ドットを練り込んだものです。この方式は、2013年10月18日発売のAmazonのKindle Fire HDX 7に初めて搭載されました。

それ以外には、青色LEDの発光面状に量子ドットを配置する方式、量子ドットをカラーフィルターの替わりに用いる方式が研究開発されています。前者の方式は、量子ドットの耐久性が課題で、まだ実用化の見込みが立っていません。後者のカラーフィルター方式は、技術的にはマイクロLEDディスプレイにも転用が可能であるため、活発に研究開発が続けられています。

以下にそれぞれについてさらに詳しく解説します。

量子ドットフィルムの構造と課題は?

量子ドットとは、直径数ナノメートルの半導体粒子のことで、液晶ディスプレイに用いられるものは、短波長の光を長波長の光に変換することができるものです。製品化されている量子ドットディスプレイでは、青色LEDからの光を量子ドットを練り込んだポリマーフィルム通過時に赤色と緑色にそれぞれ変換します。そのまま通過する青色光と波長変換された赤色光および緑色光のバランスを調整することで白色光にしています。

量子ドットの粒径を精密に制御することで、赤色および緑色の光の波長スペクトルを狭くすることができ、これらと青色光の混色により作り出せる色数を多くする(色域を拡大する)ことができます。2018年12月から始まった4K/8K放送の広範な色域に近づけられる技術として期待されています。

量子ドットフィルムの課題は、カドミウム(Cd)の毒性、量子ドットの耐久性、価格などです。カドミウムを使用すればもっとも効率の高いものが作れるのですが、毒性が高いため、カドミウムを減らす、他の物質を使用するなどの取り組みが進められています。

量子ドットの耐久性を高めるためには、外部からフィルム中に侵入した水分や酸素などによる量子ドットの劣化を防ぐことが重要です。そのため、量子ドットを練り込んだフィルムを表面と裏面からバリアフィルムで挟み込んだ構造となっています。バリアフィルムを使うことで、量子ドットフィルムの耐久性を向上することができますが、それでもフィルムの側面部分はバリアされていないため、フィルムの周辺部分から劣化が進んでいきます。

また量子ドットそのものが高価であることに加え、バリアフィルムも高価であるため、量子ドットフィルムの価格が高くなってしまうことが課題となっています。

量子ドットフィルムを使用すれば、従来の液晶ディスプレイよりも広色域になることは間違いありませんが、粒径制御が十分ではないため、本来目標とされていた色域にはまだ到達していません。

現時点での製品レベルの量子ドットディスプレイの色域については、こちらの記事「量子ドットディスプレイの色域を比較してみる!改善する?」をご覧ください。


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量子ドットカラーフィルターの特徴と課題は?

最近注目を集めているのが量子ドットカラーフィルターです。通常の液晶ディスプレイでは、白色LEDからの光を、サブピクセルごとに形成された赤・緑・青のカラーフィルターを通過させて、フルカラーの画像表示を行っています。つまり、白色LEDからの光は、赤色・緑色・青色の光が混合されていて、サブピクセルごとにそれらの1つの光を取り出し他の2つを吸収しています。その結果、カラーフィルターで光の利用効率が3分の1になってしまいます。

量子ドットカラーフィルターは、通常のカラーフィルターの替わりに量子ドットをインク状にして使用するものです。青色光のところには使用せず、赤色光と緑色光のところに量子ドットを使い、青色光を吸収して波長変換します。これにより通常のカラーフィルター方式よりも高い効率を狙います。

量子ドットカラーフィルターの課題は、通常の液晶ディスプレイの構成を変更する必要があることです。通常の液晶ディスプレイでは、2枚の偏光板とガラス基板の間にカラーフィルターがありますが、量子ドットカラーフィルターを使用する場合は従来のカラーフィルターを外した上で、前面側の偏光板の外側に量子ドットカラーフィルターを配置しなければなりません。すでに完成している液晶ディスプレイの製造工程に大きな変更が必要であるため、ハードルが高いようです。

まとめ

量子ドットフィルムと量子ドットカラーフィルターについて解説しました。日本メーカーでは、日立化成が量子ドットフィルムを製造・販売し、DICが米国Nanosys, Inc.と組んで量子ドットカラーフィルターの研究開発に取り組んでいます。今後の展開でに注目です。

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