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量子ドットのカドミウムの課題は解決できるのか?

投稿日:2019年3月29日 更新日:

液晶ディスプレイの色域拡大(表示可能な色数増大)のために、量子ドットが使用され始めています。日本で量子ドットを搭載した液晶モニターが販売されています。量子ドットは、カドミウムの毒性が課題の1つとされてきましたが、これは解決できるのでしょうか?

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量子ドットのカドミウムの課題は解決できるのか?

量子ドットは、直径数ナノメートルの半導体の粒子です。液晶ディスプレイに使用されるのは、青色光を照射すると、その光を吸収し、緑色や赤色の光に波長変換して放出するタイプです。量子ドットの粒径を精度良く揃えることで、放出する光の波長スペクトルの幅を狭くすることができます。スペクトル幅の狭い赤色・緑色・青色の光を混色することで、広色域(表示できる色数を増やすこと)が可能となります。

量子ドットは、このような優れた特性をもつ材料ですが、波長を変換する効率の高いものには毒性の高いカドミウムが用いられていました。そのためカドミウムを用いない(カドミウムフリー)の量子ドットを作製する研究開発が進められています。主なアプローチは、「インジウムを用いる方法」と「ペロブスカイトを用いる方法」があります。しかし、これまではこれらによる量子ドットは、カドミウムを用いたものに比べて効率が低いとされてきました。

カドミウムフリーの量子ドットはできるのでしょうか?

量子ドットのカドミウムの課題 日立化成とNanosys

日立化成は、量子ドットメーカーの米国のNanosysと組んで量子ドットフィルムを開発し、製造販売しています。使用されている量子ドットの詳細は公表されていませんが、米国の液晶ディスプレイメーカーVIZIOのの新型量子ドット4Kテレビ「P-Series Quantum 65に採用された同社の量子ドットフィルムについては、以下のように同社サイト内に記載されています。

「今回採用された日立化成の量子ドットフィルムは、樹脂層のカドミニウム(Cd)の含有量がRoHS指令の閾値である100ppm以下となっており、RoHS指令に適合した製品です。」

量子ドットフィルムの場合、バックライトからの青色光がフィルム通過時に吸収されずに透過する程度の量子ドットの含有量とします。そのため、フィルム中の濃度という点で規制値以下なのかもしれません。またNanosysは、カドミウムフリーの量子ドットを開発していますので、それでもカドミウムの濃度について説明しているのは、カドミウム含有の量子ドットとカドミウムフリーの量子ドットを混合している可能性もあります。

一般にカドミウム含有の方が効率が高いので、規制値に収まるようにカドミウム含有量子ドットの濃度を下げ、カドミウムフリーの量子ドットを替わりに加えるという方法はよく知られた方法です。日立化成のサイトではその点については触れられていませんが、カドミウムが規制値以下であることは触れられています。


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量子ドットのカドミウムの課題 昭栄化学

昭栄化学は、インジウムとリンを使用した製法で、カドミウムフリーの量子ドットを開発したと日本経済新聞電子版(2019/03/04)は報じています。量産ラインはすでにできており、本格受注を見据え、2020〜21年の事業化をまざすとのことです。

同社のサイトに、同社による公式のテクニカルデータが掲載されて無く、日本経済新聞電子版の記事へのリンクが貼ってあります。そのため量子ドットの性能については正確な内容が不明なのですが、同社がサイト内で同記事へのリンクを貼るわけですので、記事の内容にある程度技術的な正確性があると考えて良いのかもしれません。

記事によれば、緑色の波長幅が33 nm、赤色の波長幅が38 nmで、BT.2020の80%超をカバーできるとのことです。さらに2019年中には85%超を目指すそうです。

まとめ

カドミウムフリーの量子ドットについて紹介しました。現時点では、カドミウムの含有量を規制値以下にしたものが使用されています。今後数年以内にインジウム系のカドミウムフリー量子ドットが製品化されそうです。ペロブスカイト系については、まだ学会発表レベルのようです。

(*参考記事:量子ドットフィルムとカラーフィルターはどちらが勝つ?

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