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生分解性プラスチックのストローを使えば海洋汚染は防止できる?

投稿日:2019年6月6日 更新日:

ウミガメの鼻に刺さったストローを引き抜こうとして、その痛みにウミガメが苦しむ映像が多くの人に視聴されたことで、海に流れ込むプラスチック製ストローの問題がクローズアップされるようになりました。ストローを廃止する店舗も出始めていますが、ストローが無いと困る人もいらっしゃるとのことで、生分解性プラスチックのストローを使用しようという動きもあります。効果があるのでしょうか?

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生分解性プラスチックのストローを使えば良いのか?

海に流れ込むプラスチックはもちろんストローだけではありません。様々なプラスチック製品が流れ込み、中でもレジ袋などを海洋生物が飲み込み、消化器系に詰まってしまい、命を奪ってしまう事例も確認されています。

ある程度の大きさのプラスチックは視認されやすいのですが、これらが紫外線などの影響で崩壊し、数ミリ以下の大きさになったマイクロプラスチックの問題も深刻と考えられています。マイクロプラスチックには種々の有害な物質が吸着されやすく、海洋生物の体内に取り込まれ、生体濃縮によりさらにそれを食べた人間にまで影響すると考えられるからです。

したがって、プラスチックが崩壊せずにストローやレジ袋などの形で海洋生物に害を与えることも問題ですが、それらが粉々になっても、物質レベルで無害なものにまで分解されないと、環境中に蓄積されてしまうことになり、長期にわたって問題となります。

生分解性プラスチックは、微生物によって炭酸ガス、メタン、水、バイオマスなどのみに分解されるプラスチックで、このプラスチックによる海洋汚染問題を解決できる材料として期待が寄せられています。

本当に生分解性プラスチックのストローを使えば、海洋汚染問題解決に効果があるのでしょうか?

市販されている生分解性プラスチックのストローは?

インターネットで生分解性プラスチックのストローを検索してみると、いくつかヒットします。それらの多くは、ポリ乳酸という生分解性プラスチックをしようしているものです。

ポリ乳酸は、生分解性プラスチックの中での比較的多く利用されているものですが、結論から言うと海洋中では短期間で無害な状態までに分解しません。それなのになぜ「生分解性プラスチック」として販売することが許されるのでしょうか?

日本では、生分解性プラスチックを認知してもらいやすくするために、「グリーンプラ(生分解性プラスチック)識別表示制度」というものがあります。要するに定められた評価試験に合格し、生分解性プラスチックと認められたものに「グリーンプラ」マークの表示を許可するという制度です。

定められた評価試験で、微生物により分解するという点では、間違いなくポリ乳酸は生分解プラスチックです。誤解を受けやすいのは、その評価試験が土壌中やコンポスト中などの条件を想定して定められたものなど複数あり、そのうちのいずれからに合格すれば生分解性プラスチックと呼ぶことが許されるという点です。

ポリ乳酸は、堆肥中やコンポスト中などのように、ポリ乳酸を分解できる微生物が多数存在し、活発に活動できる条件下であれば、短期間で分解されます。したがって、ストローや使い捨ての食器などとして使用し、残飯と一緒にコンポストに入れれば分解できる便利なものです。

残念ながら海洋中はそのような条件下では無く、長く分解されずに残留してしまいます。考えてみれば、海は広く、北極や南極の方まで広がっています。塩分が含まれているので、本当に寒い地域では海水温度がゼロでも凍らず、氷点下まで下がります。そのような環境下で生分解性プラスチックの分解のために活発に働く微生物が存在するとも思えません。

現在、海洋中で本当に分解されるような生分解性プラスチックの評価方法も検討されていますが、いずれにしてもある程度分解しやすいのような温度等に条件が定められると考えられ、その条件から外れた環境下では期待通りに分解しない可能性があります。


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生分解性プラスチックのストローの使用は意味があるのか?

多くの国内の飲食店では、ストローなどのプラスチックごみをごみ回収に出し、最終的には焼却処分されているケースが多いようです。したがって、ストローの素材を変更したところで、焼却してしまうのであれば意味はないという意見があります。大勢を考えれば、その通りと言えます。

しかし、問題なのは、「実際に海にプラスチックごみが流れ込んでいるではないか!」と言われるとそれも事実ということです。東日本大震災の津波の影響で、日本語が記載された多くの流出物が海洋で発見されていることも報じられています。このような不可抗力によるものもありますし、風で飛ばされるなどして河川や海岸から流出し、最終的に広い海に流れて行ってしまうものもあります。確率的に少ないとしても、取り扱う量が多ければ、長い年月を経て海洋にものすごい量のプラスチックごみが蓄積していきます。

これは現代の世界的な難題です。もっとも効果が高いのは、プラスチックストローを使用しないことです。他のプラスチック容器についても同様です。

そしてどうしても使わなければならない時に、使用済みのストローをごみとして正しいルートで廃棄することが重要です。

生分解性プラスチックのストローとして、ポリ乳酸製のものを使用する意味は、現時点では使用後に残飯などと一緒にコンポストに入れられる回収ルートが確立されているケースに限られるでしょう。他のごみと一緒に焼却してしまうのであれば、通常のプラスチックストローを使用しても同じです。

まとめ

生分解性プラスチックのストローを使用する意味について紹介しました。雰囲気に流されず、本当に意味のある議論を社会全体で深める必要があるでしょう。

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