ストローを生分解性プラスチックにすれば海洋汚染は防止できる?

プラスチック

ウミガメの鼻に刺さったストローを引き抜こうとして、その痛みにウミガメが苦しむ映像が多くの人に視聴されたことで、海に流れ込むプラスチック製ストローの問題がクローズアップされるようになりました。

ストローを廃止する店舗も出始めていますが、ストローが無いと困る人もいらっしゃるとのことで、生分解性プラスチックのストローを使用しようという動きもあります。効果があるのでしょうか?

スポンサードリンク

注目!!
▼その他の生分解性プラスチックの疑問についてはこちら▼
生分解性プラスチックのまとめ!メリットとデメリットは?

市販されている生分解性プラスチックのストローは?

インターネットで生分解性プラスチックのストローを検索してみると、いくつかヒットします。それらの多くは、ポリ乳酸という生分解性プラスチックを使用しているものです。

ポリ乳酸は、生分解性プラスチックの中での比較的多く利用されているものですが、結論から言うと海洋中では短期間で無害な状態までに分解しません。それなのになぜ「生分解性プラスチック」として販売することが許されるのでしょうか?

日本では、生分解性プラスチックを認知してもらいやすくするために、「グリーンプラ(生分解性プラスチック)識別表示制度」というものがあります。要するに定められた評価試験に合格し、生分解性プラスチックと認められたものに「グリーンプラ」マークの表示を許可するという制度です。

定められた評価試験で、微生物により分解するという点では、間違いなくポリ乳酸は生分解プラスチックです。誤解を受けやすいのは、その評価試験が土壌中やコンポスト中などの条件を想定して定められたものなど複数あり、そのうちのいずれからに合格すれば生分解性プラスチックと呼ぶことが許されるという点です。

ポリ乳酸は、堆肥中やコンポスト中などのように、ポリ乳酸を分解できる微生物が多数存在し、活発に活動できる条件下であれば、短期間で分解されます。したがって、ストローや使い捨ての食器などとして使用し、残飯と一緒にコンポストに入れれば分解できる便利なものです。

残念ながら海洋中はそのような条件下では無く、長く分解されずに残留してしまいます。考えてみれば、海は広く、北極や南極の方まで広がっています。塩分が含まれているので、本当に寒い地域では海水温度がゼロでも凍らず、氷点下まで下がります。そのような環境下で生分解性プラスチックの分解のために活発に働く微生物が存在するとも思えません。

現在、海洋中で本当に分解されるような生分解性プラスチックの評価方法も検討されていますが、いずれにしてもある程度分解しやすいのような温度等に条件が定められると考えられ、その条件から外れた環境下では期待通りに分解しない可能性があります。

生分解性プラスチックのストローの使用は意味があるのか?

多くの国内の飲食店では、ストローなどのプラスチックごみを回収に出し、最終的には焼却処分されているケースが多いようです。したがって、ストローの素材を変更したところで、焼却してしまうのであれば意味はないという意見があります。大勢を考えれば、その通りと言えます。

しかし、問題なのは、「実際に海にプラスチックごみが流れ込んでいるではないか!」と言われるとそれも事実ということです。東日本大震災の津波の影響で、日本語が記載された多くの流出物が海洋で発見されていることも報じられています。

このような不可抗力によるものもありますし、風で飛ばされるなどして河川や海岸から流出し、最終的に広い海に流れて行ってしまうものもあります。確率的に少ないとしても、取り扱う量が多ければ、長い年月を経て海洋にものすごい量のプラスチックごみが蓄積していきます。

これは現代の世界的な難題です。もっとも効果が高いのは、プラスチックストローを使用しないことです。他のプラスチック容器についても同様です。

そしてどうしても使わなければならない時に、使用済みのストローをごみとして正しいルートで廃棄することが重要です。

生分解性プラスチックのストローとして、ポリ乳酸製のものを使用する意味は、現時点では使用後に残飯などと一緒にコンポストに入れられる回収ルートが確立されているケースに限られるでしょう。他のごみと一緒に焼却してしまうのであれば、通常のプラスチックストローを使用しても同じです。


スポンサードリンク

生分解性プラスチックの海洋で分解するタイプの開発は進む?

以上で述べてきましたように、プラスチックによる海洋汚染問題の解決は容易ではありません。少なくとも以下のような取り組みが必要です。

1.使用済みプラスチックの回収とリサイクルの促進

2.プラスチックの使用量の削減

3.海洋で分解する生分解性プラスチックの開発

現時点では、カネカのPHBHが海洋分解性の認証を受けており、三菱ケミカルのBioPBSも海水中で海水中で約100日経過すれば50%弱が分解した、という実験データがあるそうです。しかし、海洋分解性があると認められる生分解性プラスチックはまだまだ少なく、今後の開発に期待しなければならない状況です。

カネカは、海洋分解性のPHBHを新規事業として力を入れていますが、まだまだ製造販売量が少なく、世の中のプラスチックの多くを代替する見通しは立っていません。

どれほど努力をしても使用済みプラスチックの環境中への放出をゼロにすることはできないと考えられますので、最後の切り札として、海洋で分解する生分解性プラスチックの研究開発が進める必要はあるでしょう。

まとめ

生分解性プラスチックのストローを使用する意味について紹介しました。雰囲気に流されず、本当に意味のある議論を社会全体で深める必要があるでしょう。

▼その他の生分解性プラスチックの疑問についてはこちら▼
生分解性プラスチックのまとめ!メリットとデメリットは?

スポンサードリンク

コメント

タイトルとURLをコピーしました