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海洋汚染となるプラスチックの排出量は?生分解性プラスチックは?

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人類が製造し、使用したプラスチックが廃棄され、海に流れ込み、海洋汚染が引き起こされています。プラスチックは環境中で長期で安定であるため、蓄積される一方です。このままでは海に流れ込んだプラスチックの総量が、それほど遠くない将来に海洋生物の量を上回ると予想されています。

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海洋汚染となるプラスチックの排出量

最近、中国が他国からのプラスチックごみの受け入れを制限する規制を設けました。他の東南アジア諸国も追随する動きをみせています。日本からもマテリアルリサイクルとして中国に輸出していましたので、行き場が無くなったプラスチックごみが国内に滞留し、収容施設の容量を圧迫する事態となっています。

中国などにプラスチックごみを輸出していたのは日本だけではなく、欧米諸国も同様です。このことから日本と欧米諸国は、プラスチックごみを多量に廃棄し、海洋汚染の主要な原因を作っている国々のように感じている人も多いようです。実際、日本と欧米諸国は大量のプラスチックを使用してるため、海洋汚染の原因の一端を作っていることは間違いありません。しかし、プラスチックのリサイクル率や廃棄物の管理についての厳しい規制がありますので、世界的にみて必ずしも大量のプラスチックを海洋に流出させているわけではありません。

国別のプラスチックの海洋への流出量は、以下のようになっています。

第1位 中国      132〜353万トン/年
第2位 インドネシア   48〜129万トン/年
第3位 フィリピン    28〜75万トン/年
第4位 ベトナム    28〜73万トン/年
第5位 スリランカ    24〜64万トン/年

第20位 米国       4〜11万トン/年

第30位 日本        2〜6万トン/年

*2010年の推計値
*出典:Jambeckら、Plastic waste inputs from land into the ocean, Science (2015)

日本からプラスチックごみを海洋に流出していないとは言いませんが、日本からの流出量の100倍もの量を中国が流出させ、さらにその他の東南アジア諸国も流出させている状況は、冷静に理解する必要はあるでしょう。

この差は、使用済みプラスチックごみを回収するシステムの完成度と国民の理解・協力によるものと考えられます。したがって、1日も早く、大量のプラスチックごみを流出させている国々に、使用済みプラスチックの回収システムの導入と確立の支援を日本や欧米がする必要があるでしょう。それが人類の貴重な財産である海と海洋生物を守るために欠かせないことです。

生分解性プラスチックを使えば海洋汚染を解決できる?

前述のように、まずは使用済みプラスチックを回収し、海洋に流出させないようにすることが先決です。人口の比率から考えても、中国は現在の10分の1程度にまで排出量を減らすことができるのではないかと考えられます。そうすれば、海洋に流出し、蓄積するスピードを10分の1程度にまで落とすことができ、海洋のプラスチックの総量が海洋生物の量を上回る日が来るまでの期限をかなり先延ばしできるでしょう。

しかし、プラスチックは結局はほとんど分解されないために、蓄積する一方なのではないかと考えられます。それ故に生分解性プラスチックへの代替を進めるべきという意見もあります。なぜ生分解性プラスチックへの代替が速く進まないのでしょうか?

その原因の一つは、現在主に使用されているプラスチックに比べて高価だからです。なぜ高価かと言えば、生産量が少ないためです。2014年の販売量では、通常の熱可塑性樹脂販売実績に比べて、生分解性プラスチック国内市場規模は900分の1程度と推定されています。コスト差は4〜5倍です。

生分解性プラスチックを全面的に採用し、その結果として海洋汚染解決に貢献するには、仮に地道に生分解性プラスチックの販売量が伸びていったとしても、かなり険しい道程であることは間違いありません。


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生分解性プラスチックを使っても海洋汚染を解決できない?

生分解性プラスチックは、現在はいくつかの種類の評価試験のいずれかの認証を得なければ、生分解性プラスチックとして販売できないようです(*「グリーンプラと表示できない」という意味です)。注意しなければならないのは、海洋で分解する特性については、「OK biodegradable Marine」の認証試験を受けないといけないということです。これ以外の土壌中などの分解試験をパスしても海洋中で分解するとは限りません。

さらに忘れてはいけないのは、海洋中で分解するという認証を得たとしても、それは定められた評価方法をパスしたことを意味するだけです。例えば「OK biodegradable Marine」の認証試験では、海水中、水温30℃で、微生物がある程度存在する条件となっています。つまり、南極や北極などの極めて水温が低い海域では、海水中での微生物の量も少ないと考えられますし、分解速度も著しく下がると考えられます。もしかしたら実質的に分解しないことも有り得ます。

世界の国々から海洋に流れ込んだプラスチックが、どのように海流で流されてどこに拡散するのかは正確には分かりませんが、その一部が水温などの条件で分解され難い場所に流れ着いたら、「OK biodegradable Marine」の認証を受けた生分解性プラスチックと言えど蓄積する一方になる可能性があります。

やはり、プラスチックを海洋に流出させないように努力することが何よりも重要です。

まとめ

海洋汚染となるプラスチックの国別排出量と生分解性プラスチックについて紹介しました。多くの人がこの問題について深く理解することが必要です。

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