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マイクロプラスチックの人体への影響は?海洋汚染だけではない

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プラスチック製廃棄物の海洋への流出による汚染が深刻になり、多くの国々で規制を強化しようとしています。しかし、案外知られていないのは、マイクロプラスチック問題は海洋汚染だけでなく、陸上でも問題となっており、すでに人間の体内にも取り込まれています。人体への影響はどうなのでしょうか?

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マイクロプラスチックの人体への影響は?

海洋に流出したプラスチック製の廃棄物が、紫外線にさらされ、波や風の力でバラバラに砕け、5mm以下の大きさになったものをマイクロプラスチックと呼んでいます。海洋中に流出した時から5mm以下の大きさのものもあります。これを海洋生物が食べて、その体内に蓄積し、さらにその海洋生物を人間が食べることで、人間の体内に侵入してくる場合があります。

人間の体内に侵入したマイクロプラスチックは、人体にどのような影響を及ぼすのでしょうか?現時点でははっきりしたことは分かっていません。

一般にある物質の生物のへの影響を調べるためには、それを摂取させ続けたケースとまったく摂取していないケースを比較しなければなりません。人間への影響を調べる場合は、通常は動物実験をした上で、さらに人間に対して実験をしなければ分かりません。しかし、マイクロプラスチックを人間に摂取させる実験を行うことが、倫理的に許されませんので、実施することができないわけです。

もう一つは疫学的にマイクロプラスチックを摂取し続けた人とそうではない人を比較する方法が考えられます。しかし、マイクロプラスチックを摂取した途端に急性の症状が出ることはなく、長期間の摂取でもしかしたら何らかの影響が出るかもしれないというレベルですので、因果関係を見出すことが困難です。長期間のマイクロプラスチックの摂取量も分かりませんし、タバコや大気汚染、飲酒、遺伝など他の要因も考えられるからです。

現時点で懸念されることは、マイクロプラスチックが多くの化学物質を吸着することが多く、非常に化学物質が濃縮された状態で摂取されることです。かつて内分泌撹乱物質(環境ホルモン)が環境中に放出されると、精子数の減少や様々な異常を引き起こす可能性があると言われてきました。ヨーロッパでは、近年かなり成年の精子数が減少していることが明らかになっています。環境ホルモンがマイクロプラスチックに吸着され、濃縮された上で人間が摂取し、このような影響が出ている可能性が無いとは言えません。

その他にもアトピーや様々なアレルギーなど、原因がよくわからない疾患も多いため、マイクロプラスチックと人間の健康との因果関係は慎重に調査を継続する必要があるでしょう。

マイクロプラスチック問題は海洋汚染だけではない

マイクロプラスチックと言えば、前述のように海洋に流出したプラスチック由来のものが現在大きな問題となり、注目されています。海洋に流れ込んだプラスチックは分解されず、長期間海洋中を漂い続け、このままでは海洋生物の量よりもプラスチックの量の方が多くなる日が近い将来に訪れるとされているので大きな問題です。

しかし、プラスチックが存在するのは海洋中だけではありません。海に流れ込む河川の中にはもちろん存在していますし、陸上や大気中にもいたる所に存在しています。例えば合成繊維で作られた衣類を洗濯すると、小さな化学繊維を含んだ排水が下水に流れ込み、河川・海に流出します。衣類を干したり、着用したりすれば、微小な繊維が発生し、周囲に落下しますし、非常に小さなものは空気中に舞い上がるものもあるでしょう。

その他、いろいろなプラスチック製品から発生したマイクロプラスチックが陸上や大気中のいろいろな所に存在するわけです。中国由来のPM2.5が、海を渡って日本まで到達することを考えても、顕微鏡を使わないと見えないようなマイクロプラスチックが広く拡散することは容易に想像できるでしょう。

最近、ペットボトルの飲料水にマイクロプラスチックが混入していたという調査結果も発表されています。これも調査中に混入したのではないかという疑念もあるそうですが、それは室内の空気中にも微小なマイクロプラスチックが浮遊していて、それが調査をしている飲料水に混入する可能性もあるためです。いずれにしても、普通に飲む飲料などにマイクロプラスチックが混入し、それを飲み込む可能性が十分にあるということです。そもそもプラスチックでできた容器中に、肉眼では見えない程度の微小なプラスチック片が入っている可能性は考えられます。

つまり、海洋のマイクロプラスチックが体内に侵入することを心配する以前に、すでに多くの人の体内にマイクロプラスチックが侵入しているわけです。もはや逃れられない状況と考えた方が良いでしょう。


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マイクロプラスチック問題を解決するには?

マイクロプラスチック問題について知れば知るほど解決が難しい問題であることが分かってきます。人類はプラスチックだけでなく、様々な化学物質や無機物質を利用しています。現時点でも、マイクロプラスチックそのものよりも、そこに吸着された化学物質の毒性などの方が有害ではないかと考えられています。単純にプラスチックを使わないようにすれば良いというほど単純ではないですし、生分解性プラスチックに代替すればすべてが解決するわけでもないでしょう。

カップや食器、袋など一度使用してすぐに捨ててしまうのは、資源の無駄使いと考えられますが、すべての食器を大量の水と洗剤を使って洗浄し、繰り返し使用することが本当に環境に良いのかも疑問です。地域によっては水を使い過ぎて水資源が枯渇していることろもありますし、合成洗剤が河川・湖沼・海に流出することも問題となる場合があります。

人間が生きていくためには多くの資源を消費しなければなりません。少しでも資源を大切にして、浪費しないように努力するしかないでしょう。また日本人の平均寿命が伸びていることからも、現在のライフスタイルが必ずしも悪いことばかりということではないでしょう。

プラスチックを使用しなければその代りに他のものが使用されるでしょう。それによって消費が増えるものが必ずあります。それを製造し、廃棄するまでのすべてのプロセスを慎重に検討し、何が最善であるかを考えていかなければなりません。例えばプラスチックがここまで普及したのは、安価で軽量であることが一つの理由です。飲料の容器などをガラスや金属からプラスチックに替えることで、輸送時のエネルギーが大きく削減できています。これを再度ガラスや金属に戻せば、輸送に使う燃料の消費が増えますし、容器の洗浄に使う水資源の消費も増えるでしょう。

まずは使用済みのプラスチックの回収率を高め、環境中に放出される廃プラスチックを減らすことが重要です。プラスチックの長所も忘れずに、上手に使うようにしたいです。

まとめ

マイクロプラスチックの人体への影響と、海洋汚染だけではなく、陸上のいたる所にマイクロプラスチックが存在していることを紹介しました。

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