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テニスのガットの張り替えから考えるおすすめは?プロは?

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テニスをする人がおそらく一度は悩んだことがあるのが、ガットの選び方と張り替え時期。テニスのガットのインパクト時の挙動については、まだ完全に解明されたというわけではなく、研究開発は続けられています。特に近年は高速度カメラによるインパクト時の挙動が詳細に映像で確認できるようになり、大きく研究が進歩しています。それでもいろいろな主張・情報がインターネットやテニス雑誌などに掲載されており、どれが本当なのかよく分からなくなります。信頼性が高いと考えられるいくつかの情報を基に、ガットの張り替え時期とおすすめについて紹介します。なお、テニスのラケットのガットは、海外ではストリングと呼ぶことが多く、もともとの英語の意味からもその方が適切ですが、日本ではガットという言葉の方が定着していますのでガットと呼ぶことにします。

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テニスのガットの張り替え時期は?

テニスのラケットのガットを新しく張ったら、次の張り替え時期はいつになるでしょうか?一般的に言われることは、「3ヵ月以内に張り替える」ということです。某メーカーのホームページにも「ガットの張り替え目安は最長で3ヵ月」と書かれています。

一方で、「3ヵ月以内に張り替えるという主張には十分な根拠はあるのか?」「メーカーとガットの張り替えを請け負うショップの売上のためのキャンペーンなのではないか?」という指摘もあります。

このような事態に陥ってしまう原因の1つは、ガットメーカーが各製品の十分なデータを公開しないことです。常識的に考えれば、多くの製品を開発し、それぞれ異なる特性・特徴のガットとして販売しているわけですので、膨大なデータを蓄積しているはずです。インターネットでいろいろな技術資料を公開しやすい環境が整っているのに、十分なデータを公開しなければ疑念を抱くユーザーがいてもやむを得ないことです。

そのため比較的信頼できるのは、ガットメーカーではなく、その分野の研究者・第3者機関などが公開するテストデータです。学術的な論文にまとめられているものもありますし、専門家が長年の研究をまとめた専門書もあります。一般のユーザーとしては、テニス雑誌などに専門家がまとめて執筆した記事などを参考にすると良いでしょう。最近のものでは、例えば「テニスマガジン 2019年10月号」に「スピンとストリングの「密」な関係」という記事を元埼玉工業大学教授の川副嘉彦氏が寄稿されています。同氏はスポーツ工学の研究に従事しており、信頼性の高い記事を執筆されています。

同記事で指摘している重要な点を以下に列挙します。

1.ガットを張るテンションが異なっても、インパクト時のラケット面の反発係数はほとんど差がない。
2.ラケット面の硬さは、インパクト時の衝突速度が低い時はテンションが高いほど硬いが、衝突速度が高くなるほど差が小さくなる。つまり、スイングスピードが速くなるほど、テンションによる硬さの差が無くなってくる。
3.インパクト時のガットのスナップバックによりスピンがかかりやすくなる。ガットの表面がツルツルしていて滑りやすいほどスナップバックが起こりやすく、スピンがかかりやすい。
4.ラケットを使用し、縦糸と横糸の交差点に深い溝ができると、スナップバックが起こりにくくなり、スピンがかかりにくくなる。
5.ポリエステルガットはナイロンガットよりも硬く、表面がツルツルしているため、スピンがかかりやすい。

これらの情報からガットを3ヵ月以内に張り替えるべきであるのか考えてみます。まずナイロン、ポリエステル、ナチュラルなどのどの素材のガットを選んでも、必ず起こるのはテンションが時間とともに低下することです。特にポリエステルのテンションの低下は速く、次にナイロンが速く、ナチュラルがもっともテンション維持率が優れています。このことがガットを張り替えるべき根拠として挙げられることが多いです。ちなみにテンションの低下は時間経過だけでなく、ボールを打った強さや回数にも影響を受けます。つまり、強い力で多数回ボールを打つことでテンションの低下も速くなります。

しかし、ガットのテンションは際限なく下がるわけではありません。実際、ガットを張って2年以上放置したラケットでも、ガットが弛んでいるわけでもありませんし、指で押した程度で凹むこともありません。つまり、ある程度のテンションまで下がってからはテンションの下がるスピードが低くなり、ほぼ安定します。

前述のようにテンションが異なっても、反発係数はほとんど変わらず、ある程度以上のスイングスピードであればインパクト時の面の硬さもほとんど同じです。比較的遅いボールをあまりラケットを動かさないでボレーしたり、ゆるいロブなどを打った時に多少差が出る程度です。したがって、このことだけが張り替えなければならない根拠とするのは少々困難な印象です。

もっとも影響が大きいと考えられるのは、強いインパクトで多数回ボールを打つことにより、縦糸と横糸の交差点に深い溝ができてしまうことです。プロが試合をすると、強烈なショットの応酬を繰り返しますので、ほとんどの場合は縦糸と横糸の交差点に深い溝ができてしまいます。これはスナップバックを顕著に阻害しますので、スピンがかかりにくくなります。このような状態になってしまったらガットを張り替えるべきでしょう。

プロの場合は、男子ならば180km/h程度のサービスを打つ人が多いですし、ストロークのスピードもかなり速いです。一般のテニスプレーヤーの場合は、サービスやストロークのスピードは格段に下がりますし、練習量・ボールを打つ回数もかなり少ないので、どのぐらいの期間で縦糸と横糸の交差点に深い溝ができるのかは人それぞれです。週に1回テニススクールでレッスンを受けている中級レベルでは、3ヵ月程度ではほとんど問題ない場合もあります。

したがって、単純にガットを張ってからの期間だけでなく、どれだけ強い力でボールをたくさん打ったのかにもよります。自分のラケットのガットをよく見てみるとともに、スピンの掛かり具合などを確認しながら張り替え時期を考えた方が良いかもしれません。

もう1つ重要な要素は「打感」です。これはレベルが上がるほど、インパクトやボールを操る感覚を大切にするプレーヤーが多くなることからも無視できないものですが、数値化すること、テストをして評価することも難しいものです。プロに関しては後述しますが、一般のテニスプレーヤーの場合も、著しく打感に違和感を感じるようならば張り替えても良いでしょう。しかし、ガットは気温が上がれば伸び、下がれば縮みます。ボールも使い始めてから時間とともに弾まなくなります。ある程度の範囲内であれば、どこまでガットの変化によって打感が変わったのか判断も難しいことが多いでしょう。

テニスのプロはどのガットを選ぶ?

全米ラケットストリンガー協会の機関誌に掲載されたデータによると、USオープンでの世界ランク上位20名の男子選手のうち、1995年はナチュラルが69%でトップ、2004年にはポリエステルが84%でトップでした。ポリエステルではスピンがかかりやすいことが知られてきたためと考えられます。

ポリエステルは、張り上がり後は急速にテンションが下がります。そのこととプロレベルの試合でラケットを使うと、前述のように縦糸と横糸の交差点に深い溝ができてスピンをかける効果が低下します。これらの理由から、トッププロは試合の度に新しくガットを張ったラケットを数本用意します。また異なるテンションでガットを張ったラケットを数本用意することもあり、試合の状況・気温などによってラケットを選択することもあります。

これはプロだからできることであり、一般のテニスプレーヤーには経済面から考えても真似できないことでしょう。


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テニスのガットの張り替えとおすすめは?

一般テニスプレーヤーの場合、テニスを楽しむための経済的な負担の1つがガット代(張替え費用を含む)です。経済的な負担を考えたら、できるだけ安く済ませたいですね。そのような観点から言えば、ナチュラルガットは効果ですし、比較的切れやすいので、ナイロンガットかポリエステルガットのいずれかを選ぶと良いでしょう。

ポリエステルガットは、ナイロンガットに比べるとテンションの低下スピードが速いので、テンション維持率を気にするならばナイロンガットがおすすめです。もっとも安いロングセラーのガットは、GOSENのMICRO SUPERです。ナイロンガットを3ヵ月を目安に使用し、縦糸と横糸の交差点に深い溝ができていないか、打感に違和感が無いかなどをチェックポイントとして、張替えのタイミングを調節すれば良いでしょう。おそらくこれがもっともガット代を安くする方法です。

スピンのかけやすさに興味があれば、ポリエステルガットを試してみても良いでしょう。ポリエステルガットは、張り上げ後1日でもかなりテンションが下がると言われています。一般のテニスプレーヤーの場合は、そんなに頻繁に張り替えるわけには行きませんので、張り上がり後、ある程度テンションが下がって、落ち着いたところで使うような使い方になるでしょう。

同じラケットでナイロンガットとポリエステルガットを張ったものを試してみたことがあります。その時はポリエステルガットの方がかなり硬い打感でした。それぞれの素材でもガットの種類はいろいろありますので、製品による違いもあると考えられますが、一般的な傾向としてはポリエステルガットの方が硬い打感になるでしょう。テニス肘などへの影響を考えて、振動止めなどを併用するようにした方が良い可能性もあります。張り替えのタイミングについては、ナイロンガットと同様で良いでしょう。

まとめ

テニスのラケットのガットの張り替えの時期やおすすめのガットの素材などについて解説しました。メーカーから十分な技術データが公開されていないこと、打感などの数値化し難い特性もあることなどから、客観的に結論付け難い点もあります。この分野の研究は進められており、いろいろと新しいことも明らかになっているので、できるだけ信頼できる研究成果を基に判断した方が良いでしょう。

こちらの関連記事「テニスのガットのおすすめはナイロン?テンションは?」もご覧ください。

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