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プラスチックのごみ問題!リサイクルで環境汚染は防げる?

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プラスチックのごみ問題が、国際的に注目されています。プラスチックは、安価で丈夫、軽量などが長所ですが、環境中に廃棄物(ごみ)として放出されてしまうと、自然には分解されず、長期にわたって環境中に蓄積してしまうことが大きな問題となります。毎年、世界中で環境中に放出されるプラスチックごみの量は膨大で、このまま放出し続ければ環境中のプラスチックの量が増え続け、生態系にも深刻な影響を及ぼします。プラスチックは人類が作り出したもので、その使用・放出による環境汚染は、私たちが解決しなければなりません。以下にプラスチックごみ・環境問題について紹介します。

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海洋汚染となるプラスチックの排出量は?

海洋に流出したプラスチックごみによって、海洋生物に影響が出ていることが近年いろいろなニュースとして報じられています。ウミガメの鼻に刺さったストローを人間が引き抜くときに、その痛さにウミガメが呻く動画はかなりショッキングでした。またクジラの胃の中から大量のレジ袋などのプラスチックが取り出されたことも大きな意味を持ちます。通常の生物の消化器官内でプラスチックが分解されないため、消化器官が詰まってしまい、海洋生物に大きな影響を与えるからです。

これらの分かりやすい事例だけでも、海洋にプラスチックを流出させてしまう危険性が十分に理解できるでしょう。それではどのぐらいの量のプラスチックが、どこから海洋に流出しているのでしょうか?不法投棄されるごみについては、そもそもその量を正確に把握することさえ困難なのですが、1つの推計値は以下のようになっています。

第1位 中国      132~353万トン/年
第2位 インドネシア   48~129万トン/年
第3位 フィリピン    28~75万トン/年
第4位 ベトナム    28~73万トン/年
第5位 スリランカ    24~64万トン/年

第20位 米国       4~11万トン/年

第30位 日本        2~6万トン/年

*2010年の推計値
*出典:Jambeckら、Plastic waste inputs from land into the ocean, Science (2015)

日本はプラスチックの回収・リサイクルシステムを構築し、高いリサイクル率を達成しているため、上記のように海洋への排出量は少ないです。しかし、以前は、マテリアルリサイクルとして、廃プラスチックを中国などに輸出していました。現在は、中国などが廃プラスチックの受け入れをしなくなりましたので、マテリアルリサイクルに回していた廃プラスチックが、行き場を失って国内に滞留している状況です。

やはり、ごみは国外に輸出するのではなく、発生した国の中で適切に処理するべきものでしょう。

関連記事:海洋汚染となるプラスチックの排出量は?生分解性プラスチックは?

プラスチックの環境問題にリサイクルは意味あるの?

プラスチックの環境問題の多くは、使用済みのプラスチックを環境中に投棄することにより発生します。したがって、使用後に適切に回収するシステムが構築されれば、プラスチックごみ問題の解決には大きく貢献できると期待されます。

またほとんどのプラスチックは、石油から製造されており、限りある資源を有効に活用するという観点からはリサイクルが重要です。プラスチックのリサイクルには、主にサーマルリサイクル、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクルがあります。

サーマルリサイクルは、プラスチックごみを燃やし、発電などに利用する方法です。マテリアルリサイクルは、プラスチックを粉砕するなどして、それを再度溶融させ、プラスチック製品の原料ペレットとして利用する方法です。ケミカルリサイクルは、廃プラスチックを粉砕するだけではなく、化学的に分解し、モノマーなどの原料にまで戻して再利用する方法です。

リサイクルは、「資源を有効活用する」という大原則がありますので、ごみを資源にリサイクルするプロセスで、得られるリサイクル品・エネルギーよりも多くの資源を使ってしまうとあまり意味が無くなってしまいます。例えば上記のケミカルリサイクルでは、新品同様の高品質のリサイクル品を得ることができますが、新品を製造するよりも多くの資源を投入しなけれなならないことが多く、ほとんどの場合では選択されません。

一般にはプラスチックごみを燃やして発電する方法が、リサイクルプロセスに要する資源は少なく、得られるもの(*ここでは電気など)が大きいので、サーマルリサイクルが主流です。しかし、最近は温室効果ガス(二酸化炭素)の放出につながることから、サーマルリサイクルへの批判も高まっています。

太陽光発電や風力発電のように、環境負荷の少ないクリーンエネルギーを使用して、マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルをする方法が理想的なのかもしれません。

いずれにしても、1回使用しただけですぐにごみとしてプラスチックを投棄することは最悪で、適切に回収し、リサイクルすることが必要です。社会システムとして、プラスチックごみの回収とリサイクルのシステムを構築し、それが機能するようにしていかなければなりません。

関連記事:プラスチックの環境問題の対策は?リサイクルは意味があるの?


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ごみの分類は意味があるの?

日本では、毎年大量のごみ(廃棄物)が発生します。それらは産業廃棄物と一般廃棄物に分類されます。産業廃棄物の方が量が多く、年間約3億9,284万トン(2014年度の環境省推計値)です。そのほとんどは汚泥(43.3%)、動物のふん尿(20.6%)、がれき類(16.4%)であり、プラスチック類は1.7%です。一般の方々に関係の深い一般廃棄物は2016年度に4,317万トンで、その内容は多いものから順番に紙類(33.8%)、厨芥類(30.1%)、プラスチック類(11.1%)です。回収されたプラスチック類の84%はリサイクルにより有効利用されています。また古紙の利用率は64.1%となっています。

ごみはできる限りごみではなく資源として再利用すべきものです。それを可能にするには、ごみとして排出される段階で分類し、種類ごとに分けて回収すること、すなわち分別することが必要です。実際、分別が上手く機能しているものほどリサイクル率は高いです。ごみの品質のバラつきが少ないため、その次のリサイクルプロセスも進めやすくなります。さらに分別が上手く行っているということは、不法投棄されずに回収されている比率も高いと推定されます。

これらのことから考えても、ごみの分類・回収(分別)は極めて重要であることが分かります。もちろん、分別を価値あるものにするためには、その次のリサイクルプロセスが適切でなければなりません。

しかし、現実問題として、どれほどプラスチックごみの回収・リサイクルシステムを構築する努力をしても、環境中に投棄されるプラスチックごみはゼロにはなりません。最善の方法は、プラスチックをできるだけ使用しない「リデュース」であることは間違いないでしょう。プラスチックの利便性を考えると、いきなりプラスチックの全面禁止まではできませんが、使い捨てのストローや食器、レジ袋などは、着実に脱プラスチックの動きが広がりつつあります。

関連記事:ゴミの分類は意味があるの?リサイクルとリデュース

PETボトルはリサイクルして再使用できるの?

多くの人が利用している使い捨てプラスチック製品で、リサイクルが行われているものの代表例がPETボトルです。ガラスの瓶に比べて軽く、割れにくいため、広く普及しています。大量のPETボトル入り飲料を輸送した場合、容器部分の重量がガラス製の瓶にくらべて圧倒的に軽いため、輸送時の燃料などの節約・環境負荷低減の効果も大きいとされています。

問題となるのがPETボトルの不法投棄です。手軽に持ち運べるために、安易に投棄する人も多い可能性があります。そのため自動販売機のなどの近くにPETボトルの回収箱が設置されるようになり、ある程度の回収率を達成しているようです。

回収したプラスチックごみをリサイクルすることも一般に難題なのですが、PETボトルの場合はプラスチックの種類がPETであることから、比較的にリサイクルしやすいです。

リサイクルとしては、PETボトルとしてそのまま再利用する「リユース」が考えられますが、衛生面への懸念から行われておりません。これがかつてのガラス製の瓶と大きく異なる点です。

回収したPETボトルを破砕し、再生ペレットを作り、それを用いてPETボトルを成形するリサイクル方法が行われています。衛生面を考えるとケミカルリサイクルが望ましいのですが、リサイクルプロセスで多くのエネルギーを使用するため、行われていません。

プラスチックごみを減らすためにはPETボトルを使用しないことが望ましいのですが、利便性を考えるとそれも難しいです。そのため1本のPETボトルに使用するプラスチック量を、PETボトルの厚さを薄くすることで減らすという工夫も進められています。

関連記事:PETボトルはリサイクルして再使用できるの?リデュースも!

生分解性プラスチックとマイクロプラスチック問題

プラスチックによる海洋汚染が深刻になる原因の1つは、プラスチックが非常に安定で、海洋中では容易に分解されず、長期にわたってとどまることです。現実的には世界中で蓄積する量が増える一方で、このままでは生態系への影響が大きくなるばかりです。

海洋に流出したプラスチックの問題の1つとして、マイクロプラスチック問題があります。5mm以下のプラスチック粒子をマイクロプラスチックと呼び、これが海洋中に蓄積することが問題となっています。

大きなプラスチックは、海洋中に流出すると通常は紫外線を浴びてもろくなっていきます。そこに波の力が加わると、粉々になっていくことが多いです。かつては粉々になりやすいように、何らかの添加物を配合したものまでありました。

しかし、注意しないといけないことは、肉眼で見ることが難しいほど粉々に小さくなった場合でも、化学的な意味での分子構造はそのまま維持されています。5mm以下程度の大きさであれば、いろいろな化学物質を吸着しやすく、毒性の高いものが高濃度で集まってしまう核になることがあります。分子レベルでバラバラになったとしても、もともと自然界に存在していなかった化学物質であり、添加されている物質の中には環境ホルモンとして懸念されているようなものもあります。

このような状況を理解すると、5mm以下の小さなプラスチック片になったからと言って安心できる要素はなく、むしろ視認し難く、回収も困難になるため問題が深刻化する可能性があります。これがマイクロプラスチック問題の核心です。以下の記事で解説しています。

関連記事:マイクロプラスチックとは?人体への影響と対策などのまとめ!

これらのプラスチック問題の難しさを考えた時に、1つの解決策として生分解プラスチックの使用が考えられます。自然界に放出されても微生物などの力で水と二酸化炭素などに分解されますので、理想的です。しかし、現状の生分解性プラスチックにはいくつかの課題があり、生分解性プラスチックを使いさえすればすべてが解決すると安易に考えるのは危険です。以下の記事で解説しています。

関連記事:生分解性プラスチックとその問題点・メーカーなどのまとめ

まとめ

プラスチックによって、私たちは大きな利便性を得ることができていますが、廃プラスチックが海洋に流出して蓄積するという問題がいよいよ深刻になっています。次の世代のためにもこの問題を解決しなければなりません。

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