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有機ELの印刷および蒸着方式による製造方法の課題は?

投稿日:2018年3月7日 更新日:

AppleがiPhone Xに有機EL(OLED)を採用しました。Apple Watchには以前から有機ELが採用されています。ソニー、パナソニック、東芝などの電機メーカーも、LGから有機ELパネルを調達し、大型テレビとして販売を開始しました。有機ELの事業および世の中への普及という点で、2017年は大きな前進があった年となりました。

このようにディスプレイの分野において、有機ELはその存在感を高めています。ここで有機ELパネルの製造方法について理解しておきましょう。

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有機ELの蒸着による製造とは?

有機ELは自発光のディスプレイで、赤・緑・青の光をそれぞれの発光材料である有機化合物が発します。発光材料は低分子量のものと高分子量のものがあります。現在、製品に使われているのは主に低分子量の発光材料で、蒸着により発光材料をパネルに塗っていきます。

蒸着プロセスでは、基板と低分子の発光材料を入れた装置内を減圧し、ほぼ真空状態にします。粉末で固体状の発光材料を加熱すると、気化し、ターゲットである基板まで飛んで行き、基板にぶつかって冷やされて固着します。これが蒸着です。

ディスプレイとして使うためには、赤・緑・青(RGB)のサブピクセルと正確に塗り分けなければなりません。そのためそれぞれのサブピクセルの位置に正確に対応した開口部を持つメタルマスクを基板の前に置き、狙った位置にサブピクセルを形成します。

このように言葉で書くと簡単な印象を受けるのですが、パネルのサイズが大きくなるほど、精細度が上がるほど難易度が上がります。有機ELの画面を見ても画素の荒さを感じないことからも、サブピクセルの大きさは肉眼では見えないほど小さいことはすぐに分かると思います。工業的に利用できるような製造速度で、大型テレビ用の有機ELパネルを蒸着により作る取り組みが、サムソンなどにより進められてきましたが、あまりの難しさにより断念しています。

LGによって開発され、現在の大型テレビ用の有機ELパネルに利用されているのが、赤・緑・青(RGB)の層を蒸着より塗り重ねる製造方法です。この方法ではパネル全面が白色に光るようになりますので、その上に赤・緑・青に対応したカラーフィルターを載せて、サブピクセルを形成します。

有機ELディスプレイ製造用の蒸着装置は、日本のキャノントッキという製造装置メーカーが世界トップシェアです。メタルマスクは大日本印刷が独占的なシェアを持っています。

iPhone XとLGのテレビに搭載された有機ELの違いについては、こちらの記事「有機ELでiPhone Xにサムスン製、テレビにLG製が搭載!違いは?」をご覧ください。

有機ELの印刷による製造とは?

有機ELの最先端の製造方法として注目されているのが印刷法です。一般家庭でも使われているインクジェット方式のプリンターと同様に高性能のインクジェット印刷装置を使用します。これを使えば赤・緑・青のサブピクセルを直接塗り分けて描画できます。

蒸着法の欠点のいくつかが印刷法により大幅に改善できます。蒸着では、基板に到達せずにメタルマスクに付着して利用できない発光材料が少なくありません。有機ELの発光材料は高価ですので、このロスは製造コストに大きく影響します。また基板を含めた装置全体を真空にしなければならないため、大型になるほど設備的に大変になります。

印刷法であれば、インクジェットで狙ったところだけに発光材料を塗っていきますので、発光材料のロスも少なくなります。蒸着のように真空にする必要もないことも大きな長所です。


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JOLEDが製造する印刷方式による有機EL

株式会社JOLEDは、有機ELディスプレイパネルの量産開発加速および早期事業化を目的としてソニー株式会社、パナソニック株式会社が有する有機ELディスプレイパネルの開発部門を統合し、2015年1月5日に発足した会社です。産業革新機構とジャパンディスプレイが大株主になっています。

このJOLEDが、印刷法による有機ELパネルを世界で初めて2017年12月に量産出荷開始しました。21.6インチの4Kパネルで、トップエミッション方式です。印刷法はJOLEDの源流となったパナソニックが10年以上研究開発してきた方法で、前述のように真空プロセスを必要としないため、大型のものも作れるとのことです。すでに56インチで製造する技術ができているそうです。

印刷法で製造した有機ELは、LGのような何層も発光層を塗り重ねる方式よりも発光効率が高くなるとのことです。

また現在市販されているほとんどの有機ELがボトムエミッション方式なのですが、この方式の有機ELは、正面から見た時と斜めから見た時の色の変化(カラーシフト)が大きいという特性があります。ところがトップエミッション方式にするとこのカラーシフトがほぼ無くなり、画質が向上します。

このJOLEDの有機ELは、ソニーの医療機器部門であるソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズのメディカルモニターに採用が決まっています。またASUSが「CES 2018」で発表したプロフェッショナルモニタ「ASUS ProArt PQ22UC」に使用されることも報道されています。

まだ詳細なスペックや製造プロセスに関連する情報がわかりませんが、これらの情報だけでも非常に優れた有機ELパネルのようです。日本の有機EL技術をを継承してきたJOLEDの成功に期待します!

まとめ

有機ELは魅力的なディスプレイ用パネルで、その性能は製造方法と密接な関係があります。ここで紹介した有機ELパネルの製造方法を理解した上で、それぞれの有機ELパネルを見比べてみればその違いをより深く理解できるでしょう。

有機ELについては、こちらの記事「有機ELのまとめ」をご覧ください。

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