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液晶と有機ELの消費電力を比較!どっちが高い?

投稿日:2018年8月28日 更新日:

家電量販店のテレビ売り場には、液晶テレビと並んで美しい有機ELテレビが複数あります。まだ液晶テレビに比べて割高ですが、急速に値下がりしてきましたので、購入をお考えの方も少なくないでしょう。有機ELテレビと液晶テレビの消費電力の比較について紹介します。

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液晶と有機ELの消費電力を比較!

液晶と有機ELの比較という意味では、厳密に言えばディスプレイ部分以外のスピーカーやチューナーなどの部分が消費する電力を除いて比較すべきですが、そのようなデータは公表されていないということと、通常はテレビとして購入して使用しますので、同サイズの液晶テレビと有機ELテレビで比較してみます。

ソニーのブラビアでは、以下のようになります。

液晶テレビ(65型)  KJ-65X9000F 消費電力 284W、年間消費電力量 235kWh/年
有機ELテレビ(65型) KJ-65A8F 消費電力 493W、年間消費電力量 277kWh/年

消費電力は、テレビがある瞬間に消費している電力で、ディスプレイ部分だけでなく、音声やチューナーなどいろいろな部品の消費する電力の合計で、最大の値を示しています。

年間消費電力量とは、省エネルギー法に基づいて、一般家庭での1日の平均視聴時間(4.5時間)を基準に算出した、1年間に使用する電力量です。

これらのテレビでは、明るい画面を表示する時と、黒の表示部分が多いなどのくらい表示では消費電力量が異なります、つまり、瞬間の消費電力では比較し難い点もありますので、電力消費の比較をするには年間消費電力量に注目した方が良いでしょう。

年間消費電力量では、液晶テレビに比べて、約18%有機ELテレビの方が多いことが分かります。

パナソニックのビエラでは、以下のようになります。

液晶テレビ(65型)  TH-65FX800  消費電力 226W、年間消費電力量 178kWh/年
有機ELテレビ(65型) TH-65FZ950 消費電力 509W、年間消費電力量 217kWh/年

年間消費電力量では、液晶テレビに比べて、約22%有機ELテレビの方が多いことが分かります。

液晶テレビと有機ELテレビのディスプレイ以外の部品が、完全に同じわけではありませんが、同一メーカーの同じインチサイズのテレビ同士の比較ですので、おおまかな比較として参考になるでしょう。現状では、有機ELテレビの方が液晶テレビよりも消費電力(年間消費電力量から導かれる平均的な消費電力)が多いことがわかります。

有機ELテレビの消費電力は多い?

液晶テレビでは、LEDから発せられた光が、2枚の偏光板、カラーフィルター、液晶セルの開口部などを通過して画面から出てきますので、利用効率は数%程度です。液晶テレビに比べると、有機ELは自発光のディスプレイで、電流を流した画素が発光するため、原理的には高い効率が期待されていました。それなのになぜ、前述ように有機ELテレビの方が液晶テレビよりも消費電力が多いのでしょうか?

いくつかの原因がありますが、もっとも大きなものは、現状の有機ELテレビはカラーフィルター方式だからです。有機ELは赤・緑・青の発光層を積層させて白色を作り出しています。画面全体が白色を表示している状態で、赤・緑・青のサブピクセルに対応したカラーフィルターを重ね、カラー表示を実現しているわけです。そのためカラーフィルターによる光のロスが液晶テレビと同様にあります。

また有機ELテレビにも、偏光板が使用されています。偏光板を使用しないと、外光が有機ELテレビに入射し、基板で強く反射されて著しくコントラストが低下するためです。有機ELの画質の最大の強みは、黒を黒らしく表示できるコントラスとの良さで、それは偏光板を使用することで最大限に発揮されます。この偏光板によっても大きく光がロスします。

有機ELには流した電流を光に変換する内部量子効率と、発光した光を取り出すことができる外部量子効率があります。内部量子効率が高い発光材料の開発がまだ続けられていますが、特に青色については比較的効率が低いと言われています。また原理的に外部量子効率を100%にすることはできず、せっかくの光をすべて利用することはできません。

以上の原因が積み重なり、前述のような有機ELテレビの効率となっています。


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有機ELテレビの消費電力は下がらないの?

現状の有機ELテレビの消費電力が限界なのでしょうか?効率を向上させるためのいろいろな努力が行われています。その中でももっとも期待されているのは、印刷方式による有機ELパネルの製造です。印刷方式では、紙にインクジェットプリンターで絵を描くように、赤・緑・青の画素を塗り分けることができます。その結果、カラーフィルターが不要になります。カラーフィルターの透過率は約25%ですので、これが不要になれば単純計算で4倍程度効率が上がる可能性があります。印刷方式はまだ開発段階で、大型のテレビ用の有機ELパネルの製造に利用されるのはまだ先の話になります。現状では印刷方式用の発光材料の効率もまだ低いようですので、消費電力が単純に4分の1になるとは思えませんが、液晶テレビと同等かそれ以下の消費電力となる可能性は高そうです。今後の開発の進展に期待したいですね。

有機ELの印刷方式による製造については、こちらの記事「有機ELの印刷および蒸着方式による製造方法の課題は?」をご覧ください。

まとめ

液晶テレビと有機ELテレビの消費電力を比較してみました。現状では有機ELテレビの方が消費電力が多いですが、さらに開発が進んでいけば、将来、有機ELの消費電力の方が少なくなる可能性はあります。

有機ELテレビ・照明については、こちらの記事「有機ELのまとめ」をご覧ください。

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