サムスンがQD-OLED(量子ドット有機EL)テレビを発表!原理は?

量子ドットディスプレイ

韓国サムスン電子(Samsung Electronics)は、ハイエンドのテレビ向けに量子ドット有機EL(QD-OLED)に注力することは2019年に発表しました。そしてついにそのQD-OLEDテレビがベールを脱ぎました!

量子ドット有機EL(QD-OLED)とはどのようなものでしょうか?原理は?有機ELとは何が違うのでしょうか?これから普及するのでしょうか?

以下に解説します。

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QD-OLEDテレビをサムスンが発表!

米国ラスベガスで2022年1月5-8日に開催されたCES2022において、サムスン電子がQD-OLEDテレビを発表しました。

発表されたサムスン電子の65型のQD-OLEDテレビは、後述するようにこれまでに無い初めての方式のテレビで、2022 Best of Innovation Awardに選出されています。

ソニーからも、2022年モデルのブラビアの1機種にサムスン電子のQD-OLEDパネルが搭載されることが発表され、今年もっとも注目されるテレビになることは間違いないでしょう!

SONY BRAVIAの2022年モデルについてはこちらの記事で紹介しています。

ソニーのテレビのブラビア以外では、Dellのゲーム向けブランドAlienwareから34インチ(3440 x 1400)の大きなモニターとして、QD-OLEDのパネルが搭載されると発表されています。

DCI-P3カバー率99.3%、最大輝度1000nit、リフレッシュレートは175Hz。ハイスペックですね!発売日がまだわかりませんので、とりあえず現在販売されているAlienwareの他のモニターを以下に載せておきます。ハイスペックですよ〜!


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サムスンのQD-OLEDとは?原理は?

サムスンが開発を進める量子ドット有機EL(QD-OLED)とは、青色有機ELパネルの上に赤色と緑色の量子ドットを画素ごとに積層した構造です。

1つの画素(ピクセル)は、RGB(赤色・緑色・青色)のサブピクセルから構成されます。つまり、青色のサブピクセルは青色有機ELからの光をそのまま用いるのですが、赤色と緑色のサブピクセルには量子ドット層が積層されていて、青色光を吸収してそれぞれ赤色と緑色の光に変換して放出します。

量子ドットからの放出光の発光スペクトル幅は、通常の有機ELの発光スペクトル幅よりも狭く、RGBを混色することでより多くの色を表示できます(広色域化が可能です)。

サムスン電子のQD-OLEDテレビは、CES2022においても別会場で招待客のみに公開されました。これまでも同様な方法で限定公開されており、まだ多くの専門家の目による評価ができていない状況です。

サムスン電子のプレスリリースによれば、カラーボリュームはDCI-P3比で120%、色域はDCI-P3比で99%、B.T2020比で90%と、現在販売中のテレビと比較しても最高水準の広色域となるとのことです。量子ドットの効果が十分に発揮されていますね。

輝度は、1000nits、ピーク輝度は1500nits、黒輝度は0.0005nits。視野角は、かなり広いです。LGのカラーフィルター方式の有機ELが白色からRGB(赤色・緑色・青色)の光を取り出すに比べ、青色光を赤色・緑色に変換する方式であるため、高効率で、高輝度となるようです。また量子ドット層で光が広角に放出するため、広視野角となるようです。

QD-OLEDの原理的な長所が発揮されていますね。

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サムスンがQD-OLEDに至った技術の蓄積は?

現在、サムスン電子の最大のライバルである韓国LGが、テレビ用大型有機ELパネルをほぼ独占的に製造・販売しています。LGも液晶事業から有機EL事業にシフトすることを表明しています。

サムスンもLGも中国勢の猛攻により、液晶事業が苦境に陥ることを予想しており、かなり前から有機ELの研究開発を進めてきました。LGが赤・緑・青の発光層を積層し、白色の有機ELパネルを作製し、その上にカラーフィルターを配置してフルカラー表示を可能にする方式(カラーフィルター方式)を採用したのに対し、サムスンはスマホと同様に赤・緑・青のサブピクセルを塗り分ける方式(RGB塗り分け方式)で開発を進めました。

原理的にはRGB塗り分け方式の方が高い性能が得られることは明らかで、サムスンはスマホ向けには開発に成功し、トップシェアを築いています。しかし、テレビ向けのようにパネルが大型化すると、RGBの塗り分けが困難になり、サムスンは途中で開発を中止しました。

LGの選択した方式は、カラーフィルターを使用するため消費電力が高くなるのですが、製造が容易なため、製品化に成功しました。

サムスンは、その後、ハイエンドのテレビ向けには量子ドットシートをバックライト部分に組み込んだ液晶「QLED」を開発し、注力しました。QLEDは広色域で色鮮やかな液晶ディスプレイなのですが、多くの消費者にはこれまでの液晶テレビとの違いがわかりにくく、プレミアムなテレビとしてはLGの有機ELテレビに対して訴求力が弱いようです。

さらに中国勢の液晶パネル・テレビへの猛烈な攻勢があり、中国勢が作れないようなより高性能なテレビの開発に取り組まざるを得なくなったわけです。そこでQD-OLEDに注力しました。

前述のように、サムスンは大型の有機ELの開発経験はあり、さらに量子ドットにも力を入れてきましたので量子ドット関連技術も蓄積しています。これらの組み合わせがQD-OLEDということになります。

量子ドットディスプレイの基礎知識については、こちら記事「量子ドットディスプレイとは?デメリットとQLEDの原理などについて解説!」で紹介しています。

サムスンのQD-OLEDは成功するのか?

まず製品の性能面では、外光による蛍光と量子ドットの耐久性の課題が予想されます。現状では量子ドットはシート状にしてバックライトに組み込まれて使用されていますが、その使用方法においても量子ドットの水分・熱による劣化が問題となるため、フィルムの両面からバリアフィルムを貼り付けるなどの保護が行われています。

QD-OLEDでは、インクジェット技術を用いて各画素に量子ドットを塗っていく工程が採用されるようですので、それらをどのように封止して耐久性を持たせるのか、まだ公開されていません。有機ELにおいても、長年封止技術の向上により耐久性を高めてきた開発の歴史がありますので、QD-OLEDテレビを発売する以上、解決できているのでしょう。

事業として成功させるためには、製造コストを下げることも重要です。赤色と緑色の有機EL発光材料とカラーフィルターを使用せず、それらを作製する工程が省略できる反面、赤色のと緑色の量子ドットを使用し、それらをインクジェット技術で塗る工程が必要となります。

パネル事業は、基本的には大量生産し、コストダウンするという努力をしなければなりませんので、QD-OLEDが販売開始して最初の1〜2年ぐらいの動向を冷静に分析すれば、かなりのことがわかってくると予想されます。

QD-OLEDパネル事業は、サムスングループのサムスンディスプレーが進めます。QD-OLEDパネルをサムスン電子だけで使用するのではなく、ソニーにも供給することが発表されています。

またQD-OLEDパネルの生産量がまだ少ないため、サムスンブランドのテレビの強化のため、LGからテレビ用OLEDパネルと調達し、OLEDテレビを発売するとも噂されています。サムスンとLGは強烈なライバル関係にありますが、猛烈にキャッチアップしてくる中国勢に対抗するため、韓国勢で連携するという展開です。

まとめ

サムスンがテレビ向け大型液晶パネル事業から撤退し、今後のハイエンドテレビ事業の中核とする量子ドット有機EL(QD-OLED)について解説しました。近い将来に試作品が一般公開されると思いますので、それらを確認できましたら追記・修正していきます。

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量子ドットディスプレイ・QLEDのまとめ

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