空気が乾燥する季節になると、喉や鼻の粘膜が乾いてウイルスに感染しやすくなります。そのため加湿器を利用して湿度を調節すると良いででょう。
しかし、ちょっと気になるのが「加湿器病」。加湿器が原因で病気になってしまうなんて・・・ショックです。
それでも過度に心配し過ぎる必要はありません。正しい使い方をすれば、湿度を調節しながら加湿器病を予防できます。詳しく紹介します!
加湿器病とは?呼吸困難になる可能性もある
加湿器は、水蒸気を部屋の中に噴出し、湿度を高める装置です。加湿器内部に雑菌が繁殖してしまうと、雑菌を水蒸気とともに部屋に撒き散らすことになります。そしてそれを吸い込むと肺の奥深くまで入ってしまうため、肺にアレルギー性の病気を引き起こすことがあります。
これを通称「加湿器病」と呼ばれています。専門的には「過敏性肺臓炎」と言い、アレルギー性の疾患です。
症状は、咳、発熱、全身の倦怠感、呼吸困難などです。加湿器を使用していて、このような症状が長期にわたって続き、旅行などで自宅以外の部屋に宿泊したりすると症状が軽くなるようなことがあれば、加湿器病を疑った方が良いでしょう。
年齢に関係なく、赤ちゃんから高齢者まで誰でも加湿器病になる可能性がありますので、注意が必要です。
加湿器で雑菌が繁殖しない・繁殖しにくいタイプは?
加湿器病の原因は、加湿器内部に雑菌が繁殖し、それを部屋中に撒き散らすこと。したがって、加湿器内部に雑菌が繁殖しやすい機種、繁殖した雑菌を撒き散らしやすい機種ほど危険と言えます。
方式別に見た加湿器の代表的なタイプは以下の4つです。
1.超音波式
2.気化式
3.スチーム式
4.ハイブリッド式
これらの内、「超音波式」がもっとも危険と言われています。個別にその特徴を見てみましょう。
超音波式加湿器
比較的安く、おしゃれな形状で、アロマオイルを一緒に使えるなどの機能がある機種が多く、消費電力も低いため人気があります。また加熱しないため蒸気で火傷するリスクもなく、小さな子供がいても安心です。
超音波で蒸気を作る際に、水道水に含まれている塩素が早く抜けてしまうため、残った水に雑菌が繁殖しやすくなります。またタンクに水を継ぎ足しながら使う人も多いようで、さらに雑菌を増やすことなります。
このような特徴のため、超音波式を使うならば特に頻繁に洗浄・乾燥・除菌が必要でしょう。
気化式加湿器
室温の水に風を吹き付け、水を気化させて加湿する方式です。加熱しませんので蒸気は熱くなく、火傷の心配はありません。消費電力も低く、人気のある加湿器です。
部屋の温度が低いと加湿能力が下がるという弱点はありますが、取り外し式のタンクに水を入れる設計のものが多く、手入れもしやすく、水道水を使えば雑菌の繁殖を抑えやすい機種です。
スチーム式加湿器
水を加熱して蒸気を作り出す方式です。加熱時にほとんどの雑菌は死滅するので、もっとも衛生上のリスクは低い機種と言えるでしょう。加湿能力も高いです。
しかし、蒸気が熱いため火傷の危険性があり、小さな子供がいる場合は注意が必要です。また加熱するため消費電力はもっとも高くなります。
加湿能力が高いために、室温が低かったり、断熱性の低い窓などでは結露しやすくなります。結露はカビなどの発生原因となり、それがアレルギー性の疾患を引き起こす可能性もありますので、注意が必要です。
ハイブリッド式加湿器
気化式とスチーム式のハイブリッド方式です。温風を水に吹き付けることで加湿能力を気化式よりも高めています。温風が熱くならないので、火傷の心配はありません。
温風を吹き付ける際に加熱するため消費電力は気化式よりも高くなりますが、スチーム式よりは低くなります。通常は風を加熱しないで、室温の風のみに切り替えられるようになっていますので、気化式として使うこともできます。
紫外線除菌機能付加湿器!UVで雑菌対策!
加湿器の雑菌を紫外線(UV)ライトを使って除菌する機能を備えた加湿器が発売されています。水の中の除菌方法として、紫外線照射は浄水場でも行われている方法ですので、これは嬉しいです(*浄水場で使用している光源の種類とそのパワー等とは異なります)。
このような除菌機能が付いている機種を選ぶのも良いでしょう。
加湿器の雑菌が繁殖しない正しい使い方
塩素消毒されている水道水を使う
もっとも大切なことは、「飲用の水道水(塩素消毒されているもの)」を加湿器に入れることです。浄水器を通して塩素(カルキ)が抜かれてしまっている水や、40度以上に温めた水は、もともとが塩素消毒された水道水であっても、殺菌作用が無くなってしまっているので使わないようにしましょう。
もちろん、市販されているミネラルウォーターなども塩素(カルキ)が入っていませんので、加湿器に使用するには不向きです。
毎日新しい水道水に入れ替える
毎日加湿器のタンクに新しい水道水を入れましょう。その時にも水道水で2〜3回タンクをすすいでから給水しましょう。
タンク内に前回の使い残しの水が残っていた場合は、継ぎ足さずに捨て、タンク内を新しい水道水ですすいだ後に、新しい水道水を入れましょう。これを守るだけで加湿器内の雑菌の繁殖をかなり抑えられるはずです。
タンクを加湿器に取り付けると、タンク内の水が加湿器内部に入ります。前回、タンク内のすべての水を使い切っていないと、加湿器内に水が残っている場合があります。基本的にはタンクの水を使い切って、加湿器内も乾燥させるのが衛生上好ましいです。
ほとんどの機種で一晩使用するとタンクが空になるようなサイズで設計されていますが、多少タンクの水が残っているようでしたら使い切ってしまってから、タンクに給水するようにすると、本体内部の水も使い切れるので簡単です。どうしてもタンク内に水が残っていて、すぐに水を補給したい時は、本体に残っている水も捨てましょう。
加湿器をお手入れする
1ヶ月に1回程度、加湿器用洗剤あるいはクエン酸で加湿器を洗浄しましょう。機種によっては「お手入れ」のタイミングを知らせてくれる機能が付いているものもあります。これらの洗剤を使う場合でも、濃度が指定されていますので、よく取扱説明書で確認しましょう。特に使用してはいけないタイプの洗剤などもあり、洗浄方法も定められていますので要注意です。
気化式加湿器の雑菌は?パナソニックの加湿器を実際に使ってみた!
実際、寝る前に「おまかせ」モードで使用し始めると、湿度が低い時には最初強めに加湿しますが、徐々に弱くなってくるので、寝る時にはかなり静かです。
湿度が下がる時期になると、加湿器を使った日と使わなかった日では、朝起きた時の喉の調子が違います。やはり加湿した方が断然喉に優しいですね。
前述のように毎日タンクの水を使い切って、新しい水道水ですすいでから新しい水道水を入れるということだけを守っていれば、加湿器を使うことによる健康への悪影響を感じたことはありません。タンク内や本体内部にヌメリなどもないので、特に雑菌繁殖の兆候は見られません。
この程度のことですが、基本を守っていれば加湿器病を心配し過ぎる必要はないでしょう。
パナソニックのFE-KFP03は、現在、生産・販売は終了しています。後継機種は見当たらないので、少し大きなサイズの機種を以下に載せておきます。
アイリスオーヤマのハイブリッド式加湿器の雑菌は?
職場の部屋の湿度が低くなりがちでしたので、自費でアイリスオーヤマのハイブリッド加湿器を買って使用しています。自宅よりは空間的に広いため、気化式加湿器よりもパワーがあるハイブリッド加湿器を選びました。
朝、部屋の温度が低い状況でも、温風を当てて加湿できますので、十分な加湿能力があります。エアコンで部屋の温度を上げていく時は、急速に湿度が下がりますので、ハイブリッド式加湿器は頼りになります。
部屋の広さに対して少し広めの適用畳数の機種を選ぶと良いでしょう。消費電力が低いのも魅力です。
同様に毎日タンクの水を使い切って、新しい水道水ですすいでから新しい水道水を入れるということだけを守っていれば、特に雑菌繁殖の兆候は見られません。
加湿器のフィルターの黄ばみ・水垢をクエン酸で掃除する
加湿器を使用しているとフィルターに水垢がたまり、黄ばみも目立つようになります。また長期間掃除をしないとカビが発生する可能性もありますので、定期的に掃除をするようにしましょう。
ハイブリッド気化式加湿器を2ヶ月程度使用し、その加湿器から取り出した加湿気化フィルターが以下の写真です。
しかし、フィルターをよく見てみると黄色い汚れと白い塊が付着しています。これは水道水に含まれているミネラルなどが析出して付着したものです。これがさらに蓄積していくとフィルターが目詰まりし、加湿器の風が通り難くなり、加湿器の性能が落ちてしまいます。この水垢の汚れを掃除するにはクエン酸が有効です。
クエン酸はスーパーやドラッグストアなどの台所用品が売っているところであれば、通常は売っているでしょう。クエン酸と水の比率は取扱説明書などに書かれているようにしましょう。
バケツやこのフィルターがちょうど入るような容器があればそれを使うのが良いでしょう。私の場合はそのような容器が職場に無かったので、洗面所に水を貯めてそこにクエン酸を溶かして掃除しました。
機種によって取扱説明書の指示が異なりますが、私が使用していた機種では「40℃程度の温度で最大2時間漬け洗い」とありましたので、お湯を沸かして混ぜて水温を調節し、2時間漬け洗いしました。その結果が以下の写真です。
通常、このように掃除をすれば5シーズン使えるとのことです。目詰まりがひどくなったら新しいフィルターに交換することになります。交換用のフィルターは機種によって異なりますが、私が使用している機種では以下のように2000円程度なので、クエン酸の価格と手間を考えると適当なところで交換しても良いでしょう。
なお機種によっては洗剤などが指定されている場合もありますので、必ず事前に取扱説明書を読んで、クエン酸を使用できることを確認しましょう。
まとめ
加湿器病と聞くとなんだか怖くなってしまいますが、正しく使えば湿度を上げ、鼻・のどの粘膜を守るなど身体に良い効果があります。空気が乾燥する季節には加湿器を活用しましょう!
体温計は予測式と実測式と兼用のどれがいいのかについてこちらの記事で紹介しています!
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